食べ物の恨みは深い

『売れる化』(本多利範著・プレジデント社刊)

そんな残念な出来事が2回も続けば十分です。もはやそのお客様はそのコンビニには来てくださらなくなるでしょう。より堅実に、いつ行っても自分の欲しい商品が十分にある店に切り替えるはずです。

店のスタッフにしてみれば、「たまたま今日は切れてしまった」でも、お客様にとっては「ここには自分の買いたいものがない店」となってしまうのです。

フードやコーヒーなどのカテゴリーは、リピーターがつく手堅いアイテムです。毎日飲みたい、あるいは週に2回は必ず食べるなど、習慣化するものだからです。店にとって、日販が劇的にアップする鍵は、フードカテゴリーにこそあり、何より欠品という過ちを見過ごさないことです。

希少性の高いものとは質が異なる

ブランド物の商品や、希少価値の高い商品などは、「今日はこれで完売です」という事態も許されるかもしれません。「1日△個限定」ということが、一種の価値となって人々の購買意欲が増すこともあります。しかし、そのような希少性の高いものと、「本来あるべきもの」とは質が異なります。

普通なら十分手に入るべきものが、店側の単なる不注意で欠品することに対して、お客様はシビアに判断します。

食べ物の恨みは深い、ということも頭の片隅に入れておくべきかもしれません。

本多利範 (ほんだ・としのり)
本多コンサルティング代表
1949年生まれ。大和証券を経て、1977年セブン‐イレブン・ジャパン入社。同社の最年少取締役に就任。後に渡韓し、ロッテグループ専務として韓国セブン‐イレブンの再建に従事。帰国後、スギ薬局専務、ラオックス社長、エーエム・ピーエム・ジャパン社長を経て、2010年よりファミリーマート常務。2015年より取締役専務執行役員・商品本部長として、おにぎりや弁当など多くの商品の全面改革に取り組む。2018年、株式会社本多コンサルティングを設立。著書に『おにぎりの本多さん とっても美味しい「市場創造」物語』(プレジデント社)がある。
(写真=iStock.com)
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