ゴールは効率ではなく、面白がること

カヤックがITシステムなどを導入する際、長期契約を結ぶことはほとんどありません。多少、金額が高くてもなるべく短期契約を結んでいます。客観的に見ればそれもムダのひとつといえるでしょう。

短期契約にこだわるのには理由があります。社員が物事を考えるきっかけになるからです。長期契約で導入すると、それがそのまま利用され続けてしまい、そのITシステムを導入した目的などが忘れ去られていく可能性が高くなります。「先輩社員が決めたことを続けていけばいい」という風潮になってしまうのです。それを避けるために短期契約を結び、契約更新のたびに見直しを行うようにしているのです。

社内のルールについても同じことがいえます。前から決まっていることだからといって自ら考えることもなく従ってしまうのです。

そういったことを避ける意味も込めて、カヤックでは毎年、経営面の見直しを行っています。毎回、ジャッジを下していくのです。コンテンツやサービスだけでなく、常に新しいものを生み出し、活力を持ち続けなければ会社も“オワコン”、つまり終わったコンテンツのようになってしまいますから。

カヤックのゴールは効率ではなく、面白がることです。ストレスなく健康に働くことが最も面白いアイデアを生み出せることにつながるのです。

柳澤大輔(やなぎさわ・だいすけ)
カヤックCEO
1974年、香港生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒業後、ソニー・ミュージックエンタテインメントに入社。98年、学生時代の友人とともに面白法人カヤックを設立。著書に『面白法人カヤック会社案内』『アイデアは考えるな。』など。
(構成=百瀬 崇 撮影=的野弘路)
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