読売社説は踏み込みが足りない

対する読売社説(3月13日付)は第1社説としているものの、分量は朝日の半分だ。

書き出しは「行政に対する国民の信頼を傷付ける浅はかな行為である。財務省は問題の全容を解明し、組織の立て直しに全力を挙げなければならない」とありきたりである。

読売社説は「事実をゆがめた答弁を繰り返した佐川氏の辞任と懲戒処分は当然だ。首相と麻生財務相は任命責任を重く受け止めねばならない」と主張する。

しかし「特命責任を重く受け止める」だけでは、問題は解決しない。

読売社説は「麻生氏は『理財局の一部の職員により行われた』と語り、組織ぐるみでの隠蔽を否定した」とも指摘する。

本当に組織ぐるみの隠蔽ではないのだろうか。読売社説は踏み込みが足りない。

そもそも読売社説は朝日社説が指摘するような森友文書改竄の根底にまで言及していない。とても残念である。

産経や日経も「内閣人事局」の問題には触れず

朝日や読売以外の新聞はどうだろうか。

朝日に次いで読み応えがあったのは、毎日新聞の社説(3月13日付)だ。毎日社説は朝日社説と同じ1本社説で、内閣人事局の問題にも言及している。

「各府省の幹部人事は今、内閣人事局が決めている。『安倍1強』の中、本来、公正であるべき官僚は自らの人事への影響を恐れて、首相や菅長官にモノを言えない。そうした空気は強まる一方だ」

さらにこうも指摘する。

「南スーダンの国連平和維持活動(PKO)日報問題では、当初、日報は廃棄していたと説明したが、実は存在していた。加計学園問題では政治家らの関与をうかがわせる文部科学省のメモが報道で明らかになったにもかかわらず、菅義偉官房長官は発覚後『怪文書』と切り捨てた」

朝日社説も「安倍1強下での行政のひずみ」を問題視するが、安倍政権下で顕著になっている問題点をひとつひとつ指摘している毎日社説は評価できる。

一方、産経新聞の主張(社説、3月13日付)や日経新聞の社説(同)も、読売社説と同様に森友文書改竄の根底のある問題に触れていない。どうして内閣人事局の問題についてしっかりと書かないのだろうか。

(写真=時事通信フォト)
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