ゴーン氏の眉、孫氏の鼻

石丸氏によれば、一見、自信があるように見える人物にも、顔の形によって2通りのタイプがあるという。

「丸顔の人は根拠のない自信を持つ人。孫さんや三木谷さんは典型的な丸顔。誰に何を言われようと揺らぐことがない。反対に細面の人は経験や準備で自信を持つタイプ。柳井さんも細面ですから、自信家のようで実はたくさん失敗しながら学び、成功する方法をつかんだ人でしょう」(石丸氏)。柳井社長と言えば、創業時からの失敗と成長の記録をまとめた『一勝九敗』という著書が有名だ。苦難から学んだ人のようだが、それが顔の形でわかるとは。

「たとえば眉が山形(眉山がある)の人は、企画力やデザインの才能があります。中小企業の経営者に多い形ですが、柳井さんにはこれがある。ファッション業界で成功したのも頷けます。ただ眉山がある人は、自分1人の世界をつくりたがるのも特徴。こういう人は誰の意見も許さないし、自分の城を他人に渡したりしない」(石丸氏)

かつて柳井氏は1度、社長を退任したがすぐに復帰して以後、継承の話は出ていないが、そういうことなのか。ゴーンさんの眉は際立った逆ハの字だ。「これは『スターの眉』と呼ばれ、表現力が豊かな証拠。とにかく立ち居振る舞いが目立つ人ですね」(石丸氏)。確かに、1社のトップになるだけでも目立つのに、この人は日産、ルノー、三菱自動車と、大手3社のトップになってしまう派手な活躍ぶりだ。

石丸氏は鼻の形も重要だと言う。「鼻は強さを表しますが、小鼻が張っている人は人間的な強さを持っています。三木谷さんはしっかりした鼻をお持ちです。意外なのはゴーンさんの鼻が小さいこと。この方は本来、優秀なリーダーに仕えるほうが似合っているんじゃないですか」。

石丸氏がもっとも注目した鼻の持ち主が、スズキの鈴木修会長だという。「鼻の穴がしっかり見えます。こういう鼻を持つ人は、人を疑うことを知らない人です」(石丸氏)。ヨーロッパやインド、アジアで飛躍的に市場を広げたのも、「人種や宗教にかかわらず、相手を信頼してビジネスに臨むから、世界の国々から信頼を得られたのではないか」と石丸氏は分析する。

(左)元ライブドア社長 堀江貴文氏●上唇が厚いと「口が災いする人」
(右)スズキ会長 鈴木 修氏●見える鼻の穴は「人を疑わない人」
(AFLO、時事通信フォト=写真)

「孫さんも鼻の穴が見える人だから、相手を信頼するタイプですが、この方の鼻先は丸いでしょう。これは『ニュースの鼻』といって新しい情報に嗅覚を持っている人ですね」(石丸氏)。突然、ネット事業から携帯事業に切り替えたかと思うと、iPhoneの独占販売をしたり、アリババとの提携を発表したりと、寝耳に水の提携や合併を数々発表してきた孫氏だが、そうした先見性もあの団子っ鼻に表れているのか。

「顔にはその人の脳が表れている、というのがパーソノロジーの考え方です」(石丸氏)。最初は半信半疑だったが、こう見てみるとその分析には符合するところが多い。ときにはこういうことを参考に、企業動向を追ってみるのも面白いかもしれない。

石丸賢一
パーソノロジスト(人相科学者)。1951年生まれ。京都大学文学部哲学科卒業。日本顔学会会員。日本パーソノロジー(人相科学)の第一人者。日本キネシオロジー総合学院院長。90年にパーソノロジーに出合い研究を重ねる。人相診断に関する著書多数。

 
(撮影=榊 智朗 写真=AFLO、時事通信フォト)
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