なぜコカ・コーラは売れ続けているのか

いつまでも人気が衰えない有名人の話に戻ると、彼らに共通する特徴は、パフォーマンスは時代に合わせて機敏に変化させているが、スタイルは一貫しているということです。

ロングセラーブランドにも同じことが言えます。パフォーマンス、つまり、製品、パッケージ、価格、チャネル、アフターサービス、そして顧客経験(customer experience)は常に時代に合わせて変化させていく。その一方で、ブランドのスタイル(らしさ・方向性・ポリシー)は変化させない。ブランドのスタイルを、マーケティングの世界では「ブランド・アイデンティティ」と呼びます。ほとんどのロングセラーブランドには、「パフォーマンスは進化させ、スタイルは変えない」というルールが当てはまります。

ロングセラーブランドの代表例がコカ・コーラです。コカ・コーラの場合、ボトルのサイズや形状、広告コミュニケーションなどは時代に合わせて変化させていますが、赤と白を基調としたパッケージデザイン、独特なボトルデザイン、そしてあの風味は一貫しています。さわやかで明るいブランドイメージは不変です。

なお、ロングセラーブランドとは別に、ロングセラー製品もあります。ブランド力というよりも、製品のパフォーマンスで長く売れている製品です。

ロングセラー製品の主要なドライバーは、(1)品質(あるいはコスト・パフォーマンス)のよさ、(2)競争の少なさ、(3)入手容易性(チャネル・配架の優位性)の3つです。例えばアサヒビールの「アサヒスーパードライ」は、ドライビールというカテゴリーにおいて、ほぼ独占状態です。製品そのものの独自性によって売れている製品だと思います。

(構成=増田忠英 写真=時事通信フォト)
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