女店主の愚痴から開発されたダイエット版

ハイサワーにはレモンだけでなく、グレープフルーツ、青リンゴ、うめ、ライムなどの果汁シリーズがある。100 cc当たりわずか6キロカロリーというダイエットハイサワー(レモンおよびグレープフルーツ)も2003年に発売した。2006年にはホップとレモンを使ったビアテイストの「ハイサワーハイッピー レモンビアテイスト」「同ビアテイスト」を発売。

このビアテイストのハイッピーシリーズが好調で、その後も2009年に「ハイサワー ホップ&レモン」「ハイサワーハイッピー ゼロビアテイスト」「ハイホップ シャルドネビアテイスト」と、次々に毎年2アイテムずつ新商品を開発してきた。

こうした商品開発は田中社長が中心となって開発チームで作っているが、その田中社長が1番の会心作というのが、2016年に発売された「ハイサワーハイッピー クリア&ビター」である。糖質・プリン体・カロリーゼロで軽い飲み口に隠し味のレモンが香る爽快感のある割り材と好評だ。

発売から今年で37年目を迎えるという博水社の「ハイサワーレモン」と2016年に発売された「ハイサワーハイッピー クリア&ビター」

「私もお酒好きなので、酒飲みの気持ちを考えて作りました。原材料200種以上の味を使い、0.001ミリリットル単位で組み合わせて配合する作業を繰り返して、さわやかなビターさと軽いビールを味わえるホップの香り、味の両方を追求し、試作品を100種類作って社員やお客さまに試飲してもらいながら、6カ月かけて開発しました。おかげさまで順調に売れています」(田中社長)

田中社長は、1982年の入社以来、年間約30日間は朝から約50種類の試作品を開発する方針をずっと続けている。試作部屋にこもり、時には寝泊まりしながら、化学実験器具を用いて、微量の原料を配合し、試飲する。

「父はベロメーターなんて言って、必ず新商品は自分の舌で最終確認していましたが、人間の舌はわずかな違いでもわかるものです」

もちろん、新商品開発は自分の舌だけでなく、ハイサワーを買ってくれる居酒屋やエンドユーザーの声も重視し、社員と一緒に定期的になじみの店を回っている。

2003年に発売したダイエットハイサワーも居酒屋の女店主の愚痴がきっかけだった。

「お客さんにごちそうになることが多いので、太らない割り材ってないのかしらと聞いて、カロリーを落としたダイエット版のハイサワーを開発したのですが、当時はそうした発想の商品がなかったので、バイヤーや居酒屋店主からは『酒を飲むのにダイエットなど考えない』『そんなちまちましたものは売れない』と散々な評判でした。しかし、その後、メタボ健診をきっかけにヘルシーがキーワードになり、あれよあれよという間にヒット商品になりました」(田中社長)

2013年には割り材メーカーとしては初めて酒類に挑戦し、「ハイサワー缶 レモンチューハイ」を発売した。