勉強した英語の基本構文を声に出して練習

【三宅】では、そこはどうすればいいのでしょうか。

【高橋】反復練習です。まずは習った文法を使って、ネイティブ・スピーカーと会話をしてみる。テーマを持った練習です。やみくもに話すのではなくて、仮定法を習ったから、自分の夢を英語で語ってみるとかですね。

あと、私が勧めているのは、文法のテキストに載っている例文を、ぜひ音読していただきたいということです。結局、黙読しているだけでは、理解の段階で止まってしまいますが、それを声に出すことによって、頭の中の知識が口から出やすくなってくるんです。文法にしても、習ってすぐ使えるなんて甘いものではないです。勉強した英語の基本構文を声に出して練習しないといけない。

結局、文法なんて単なる構造です。ネイティブ・スピーカーがよく使う構造を、われわれは文法という大仰な名前で呼んでいるだけです。よく「文法なんて、私は勉強することなく、英語を身につけてやる」というのは、言い方を変えれば、「外国人がよく使う構造なんて、私はひとつも知るつもりはありません」と言っているのと一緒です(笑)。

三宅義和・イーオン社長

【三宅】高橋さんの説明、非常に論理的でわかりやすい。「果たして文法というものは大切なのか」という疑問に対して、ズバリと提言していただきました。基本構文の音読については、私も社内、あるいはセミナーなどで「やりましょうね」と訴えているのですが、とにかく、一番力がつきますよね。

それと単語も重要と指摘されました。私もやはり、その人の英語の基礎体力は知っている単語の数に比例すると思っています。「ST」を読みながら勉強する大きな利点は、数多くの単語に接することができることだと思います。高橋さん自身は、単語の重要性について、どのように考えておられますか。

【高橋】仮にリスニングをやるにしても、そもそも知らない単語が多いと聞き取れるわけがありません。また、英文を目にしても、正確に理解できない。逆に、知っている単語が多いと、何となく意味もつかめます。すると、英語力の向上にもなり4技能もおのずと伸びていくんです。

ただ私がすごく残念なのは、日本における単語学習が英単語の意味を暗記することに労力を置きすぎることです。よく電車の中で高校生が単語帳をめくりながら、必死に覚えようとしていますね。

『対談(2)!日本人が英語を学ぶ理由』三宅義和著 プレジデント社

表に書かれている単語を見て、すぐに裏返して日本語の意味を記憶しようとします。中高生の単語テストなら合格できると思うんですけど、いざそれをライティングやスピーキングで使おうと思っても出て来ません。けれども、英字新聞を読むという学習方法なら、その語がいかなる場面で、どのような文脈で使い、どんな言葉と結びつくのか理解できるようになります。

【三宅】できれば「ST」を購読し続けることも必要ですね。

【高橋】基本的に「ST」はリーディング素材なので、そこは任せろというつもりで毎週出しております。

【三宅】本日はありがとうございました。

(構成=岡村繁雄 撮影=澁谷高晴)
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