成功した外国人選手といえば、私が記憶しているのはクロマティぐらいではないか。今在籍しているマシソン、マイコラス、マギー、カミネロらに合わせて10数億円の年棒を払っているようだが、それに見合うだけの活躍をしているとはとても思えない。

「江川の借金まで手が回らない」

これも現場の意見を無視し、野球をよく知らない上層部が口を出す弊害であることは、いうまでもない。明らかに監督の資質に欠けていると思われる高橋を替えるとして、誰を監督に持ってくるのか。江川卓の名が上がっているようだが、もう15年遅い。

氏家齊一郎日本テレビ会長(故人)は江川を監督にしたかった。私は彼からその話をよく聞いていたが、ネックは江川の抱えている莫大な借金であった。氏家会長は、桑田の借金を巨人が丸抱えしたものだから、江川の借金まで手が回らないのだ、そういって残念がった。

高橋由伸が入団する際にも、父親の借金(『週刊文春』は2004年10月14日号で「借金11億円」と書いている)を巨人が肩代わりする条件が提示されたといわれている。

札束で有名選手をあさってきた巨人商法が球界を毒し、野球人気の凋落とともに自ら墓穴を掘ったといっていいだろう。市民球団として愛され、年棒は低いが球団愛が強い広島カープが活躍しているのは、巨人的なものへの反発があるのではないか。

その上、ファンをバカにする読売新聞のトップの身勝手ぶりも、現場を混乱させ、やる気を失わせていった。こんな話を氏家会長から聞いたことがある。

務台光男読売新聞社長時代のことだ。テレビで野球中継を見ていた務台が、「こんなピッチャーを使うからいけないんだ」と怒り出し、近くにいた人間に巨人のベンチに電話を掛けさせ「交代させろ」と命じた。早速、電話をすると、次の回、監督が出てきてピッチャー交代を告げた。こんなことがよくあったという。

これではいくら優秀な監督でも嫌気がさす。今もこれに近いことが行われている。今シーズン途中、成績不振を理由にGMの首を挿げ替えたのは、読売新聞上層部が巨人軍を単なる所有物としか考えていない証左である。

再復活への極め付きのアイデア

松井秀喜が監督を引き受けないのは、そうした巨人の体質に嫌気がさしているからではないか。高橋由伸は早く監督を辞任したほうがいいと思う。今の戦力では立教大学にも負ける。

私には巨人人気を再復活させる極め付きのアイデアがある。長嶋茂雄を監督に復帰させるのだ。

長嶋が監督になれば、往年の巨人ファンであった高齢者たちが東京ドームに詰めかけること間違いない。終身名誉監督なのだから復帰することに何の問題もない。

長嶋巨人が何十連敗しようが、ファンたちは気にしない。長嶋を見ていれば、野球少年だった自分たちの青春が蘇ってくるのだから。

これこそが、魅力の薄れた野球というスポーツを再び輝かせ、高齢者たちに生きる喜びを与える「妙案」だと思うのだが、いかがだろうか。

(写真=時事通信フォト)
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