――具体的には、どのくらいのメールが届いたんでしょう?

【佐久間】僕の記憶では、250通くらい。これは番組存続を望む声としては桁違いに多くて、何年かに一回起きる、決定的にひどいことを放送した後に寄せられるクレームと同じくらいの数です。

――今回の復活という結果を見ても、SNSやブログなどのネット上での絶賛や存続希望より、局に直接メールを送ったほうが意味はあるんでしょうか?

【佐久間】現状では、まず放送されて、SNSでバズって、それがネットニュースに取り上げられて、ようやく社内に届く、という流れが大半です。制作スタッフはエゴサーチして評判を自分で探しにいきますけど、会社の上層部はわざわざそんなことしないですからね。でも、メールフォームに届いた意見となれば、さっき話に出た紙資料もあったりするので、必然的に目にすることになる。僕や出演者のツイッターに「終わらせないでください」とリプライをくれる人もいますが、公式のメールで送ってもらわないと、社内にはちゃんと届かないんですよね。「うちの地元でも放送してほしい」というのも同じで、ツイッターじゃなくて地元の局にちゃんと希望を伝えるほうが有効だと思います。

【森本】SNSなどネット上で言及されればそれだけ番組の情報が世に出回るわけで、視聴のきっかけになりますから、そういった影響力は当然あります。ただ、直接メールが届くと会社としても対応せざるを得ないので、影響力の質が違うんです。SNSに限らず、放送中にネットで盛り上がっている番組でも、視聴率には反映されないというケースは多々あります。ですので、直接ご意見を送っていただいたほうが、より実感として会社には響きます。

視聴率以外にテレビが取り入れるべき数字

――SNSではこんなに盛り上がっているのに視聴率が良くない、というのはバラエティだけでなくドラマでもよく言われることですね。

【佐久間】制作の立場で言うと、SNSで盛り上がっているのに視聴率が良くないのは、番組のポテンシャルやファンの熱をうまく活用できていないんだな、と思うようにはしています。ほかのインタビューでもよく例として出すんですが、野球選手が今はホームランやヒットの数だけでなく、出塁率と長打率を足し合わせた「OPS」などを利用して、「セイバーメトリクス」で評価されているじゃないですか。それをテレビに置き換えると、録画率はもちろん、見逃し配信やSNSでの言及率なども取り入れていかないと、実態に即したデータとは言えないし、ビジネスチャンスも逃がしていると思います。

それと、SNSと一口に言っても、どのサービスで検索するかが重要になってきます。かつて2ちゃんねるの実況板は見ていて楽しめたのに、いまはそうではないのと同じで、この2~3年くらいでツイッターも荒れてきてますよね。利用している世代にも偏りがあって、ツイッターは30代くらい、2ちゃんねるは多分40代、インスタグラムでは誰もテレビに言及していない。そう考えると、最も平和だったのはミクシィだったのかなって思ったりします(笑)。