英語を使う環境が上達を早める

【三宅】実は、私どもイーオンとVISITKANSAIは昨年1月に提携しました。当社から声をかけさせていただいたのですが、昨年5月から「ボランティア通訳ガイド養成講座・関西版」をスタートしています。ボランティア通訳ガイドに必要な"おもてなし英語"を実践的に学べることに加えて、修了後にはボランティアガイドに参加できる活動先まで提供する特別講座です。大変好評だと聞いています。

【濱田】私どもにお声をかけていただいたときはただただ驚き、ありがたく受けさせていただいた次第です。講座が好評ということで、サポートさせていただいている私どもにとってもうれしいことです。すでに、この講座を修了して、ボランティアガイド活動を開始している方もいます。皆さん非常に前向きに取り組まれています。

【三宅】前向きな気持ちと、実力が大切ですね。

【濱田】はい、最初は語学が多少おぼつかなくても、コミュニケーションしてみようとか、とりあえずチャレンジしたいというモチベーションで取り組む人たちは、必然的に英語を使わざるをえない環境に自分を置くことになりますので上達も早い。語学もさることながら、ガイドの能力の向上も早いと思いますね。

【三宅】私どもの生徒さんも、せっかく英会話を学んでも、すぐには使う場面がないケースもあります。それだけに海外からのゲストを案内できれば、自分が学んだ英語役に立つし、その行動を通して世界が広がる、外国に知り合いができるということになります。やはり、ボランティアガイドの魅力はそういったところにもあるのでしょうね。

【濱田】魅力そのものは、いくつかあると考えています。ひとつは、三宅社長が指摘されたように、海外に友人ができるということですね。日本国内で暮らしていると、外国人と接触する機会もなかなかありません。しかし、ボランティアガイドをすることによって、そんなチャンスが間違いなく広がっていきます。

ガイドを縁に、その後もメールとかフェイスブックなどでコミュニケーションが続くこともありますし、逆に自分がその人の国に旅行に行くことにでもなれば、たぶん「じゃあ、僕がエスコートしてあげるよ」というふうになるのではないでしょうか。

【三宅】そういう人と人との関係というのは、もう何物にも代えがたいです。

『対談(2)!日本人が英語を学ぶ理由』三宅義和著 プレジデント社

【濱田】基本的には一期一会ではあるのですけどね。ガイドの活動というのは、押しつけではない誠意が伝われば、海外に友だちができることがあるっていうのは大きな魅力だと思っています。

【三宅】当然、見知らぬ土地に来れば不安もある。言葉の問題、生活習慣の違いも含めて戸惑うことも少なくありません。そうした場合に、そこに住んでいる人に親切に案内してもらえたらどれだけ安心感があるか、想像に難くないです。

何より、日本についての好印象と思い出を持って帰っていただけますよね。日本に行ったけれど、観光名所を巡り、和食を食べただけで終わるのとは天地雲泥の差でしょう。しかも、ガイドの人たちと心の交流ができれば、一生忘れられないはずです。そんな物語が展開するわけですから、単に言葉を訳すのとはまったく違うということですね。

(構成=岡村繁雄 撮影=澁谷高晴)
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