三菱自動車に続く第4、第5のパートナーが出る

西川氏は、今後の経営方針について、次のように話す。

「私の1番のミッションはスローダウンさせずに日産を着実に進化、成長させること。それに加えて、私が特に意識しているのは変化の激しい時代をチャンスとして捉えること。『技術の日産』というDNAの上に、自動運転や電動化などインテリジェント・モビリティという新しい技術をのせて、商品やサービスとして提供することだ。インテリジェント・モビリティとしての強い顔、ブランドのイメージを伝えていくということを強力に進めていきたい」

特に「技術の日産」についてはこだわりがあるようで、インタビュー中に何度もその言葉が出てきた。日産は現在、自動運転や電動化のリーダーを目指すビジョンを掲げている。自動運転では、昨年夏にミニバン「セレナ」に大衆車としては世界で初めて「プロパイロット」という自動運転機能を搭載して発売した。また、電動化については、昨年11月「ノートe-POWER」という新しいタイプの“電気自動車”を投入している。

とはいうものの、「日産パワー88」(2011~16年度の中期経営計画)で掲げた営業利益率8%、シェア8%は未達に終わった模様だ。

「やり残したことがいっぱいある。大きな成長を計画して投資をしたが、まだ8%のマーケットシェアに及んでいないし、それ以前の問題としてロシア、インド、インドネシア、ブラジルにかなり先行投資をしたが、まだまだそこが十分刈り取りができていない。宿題が残っている。これは私が引き継いでかなりのスピードでその宿題をこなしていく」(西川氏)

そのための対策として、インドネシアでは4月1日付で三菱商事出身の小糸栄偉知氏を現地法人の社長に任命した。同氏は「自動車が好きで、技術的なことにも詳しく、インドネシアにも5年ほど駐在し、同国のことを隅々まで知っている人物」(三菱商事関係者)とのことだ。

「私としては日産が得をするように、三菱自動車、あるいは三菱グループが持っているもので、先方がいいという限りは貪欲にいただきたい。その一つが人材」

そう話す西川氏は再編に関しても野心的で、「ルノー・日産アライアンスは当然成長し、大きくなると思う。3番目のパートナーとして三菱さんが入ったが、4社目、5社目のパートナーも出てくるだろう。そうやってアライアンスが成長し進化していく中で、日産はアライアンスの成長を引っ張る存在にしていきたい」と強調する。

それだけに、日産が今後、自動車業界再編のカギを握る可能性は高い。西川氏がどのような戦略を打ち出してくるのか注目が集まる。

【関連記事】
三菱自動車ゴーン会長就任に潜む“落とし穴”
打倒アクア?日産自動車30年ぶりの快挙「ノートe-POWER」の企画書
【自動車業界給料ランキング】春闘真っ只中! トヨタ851万、不安の種はトランプ?
日産社長の退任で分かったゴーンの野望
活路を開くのは「生え抜き」か「プロ経営者」か