「テロ等準備罪」法案が国会に提出された。過去3度廃案になり、「治安維持法の再来」という批判まで出た「共謀罪」法案の適用範囲をより厳密にしたものだ。それでも「自由な意見が言えず表現の自由が侵害される懸念がある」「一般市民でも検挙される危険がある」と反対意見が噴出している。

国会では法案提出前から激しい「さや当て」が展開(答弁する金田勝年法相)。(時事通信フォト=写真)

安倍政権はなぜ反対の多い法案を今国会で通したいのか。早稲田大学大学院法務研究科の久保田隆教授は、同法案は安倍政権の説明不足もあるが、マスコミや国民の多くに誤解されていると指摘する。「テロ等準備罪」は一般の日本人を対象にしたものではなく、国際的な資金洗浄や人身売買の対策を目的とした「国際組織犯罪防止条約」締結のために必要な法律なのだという。同法案を成立させ、日本政府が条約批准を果たすことは、2020年の東京オリンピック開催国としても必要なことなのだ。

じつは以前から国際的な要請があるそうで、資金洗浄を規制する政府間機関であるFATF(マネーロンダリングに関する金融活動作業部会)が2014年6月、資金洗浄・テロ対策に関する日本の早期の法整備を求め、名指しで注意したという。「先進国である日本が、資金洗浄・テロ対策に非協力的な国として、北朝鮮などと同様に国名公表されるのは避けたいのでしょう」(久保田教授)。