2000年以降、大規模な調査や長年の経過観察の結果、不眠があらゆる病気の悪化要因になることがわかってきた。たとえば、ある時点で寝つきが悪かったり、夜中に目が覚める不眠の症状がある人とそうでない人を比較すると、4年後には高血圧を発症する確率が2倍になる。また、企業の健診データを用いた働き盛りの男性対象の研究では、寝つきが悪い人は8年後に糖尿病になる確率が3倍高いというデータもある。

社会人に多いのが日曜にだらだらと遅くまで寝ていたせいで眠れなくなるというもの。睡眠のリズムが遅れてしまい、週の初めは寝つきが悪くなる。平日同じ時刻に起き続けていると、だんだん睡眠のリズムは整っていくが、土日にまた遅くまで寝てしまい、同じことを繰り返すのだ。

睡眠のパターンを正常に戻すためにまずやるべきことは「朝起きて陽の光を浴びる」こと。土日であってもいったん朝起きて、日光を浴び、体内時計が乱れないようにする。体の疲れが残っているなら、そのあと少しごろごろするのはかまわない。

しかし、どんな人でも、起きたらすぐに日光を浴びるべきかというと、年代によっても変わってくる。加齢によって睡眠時間は短くなる。朝の6時に目が覚めるようになった人が、起きてすぐに朝日を浴びると、さらに早く眠たくなって、朝の4時や5時に起きてしまうこともあるので注意が必要だ。

日本大学医学部精神医学系 主任教授 内山 真
1980年、東北大学医学部卒業。国立精神・神経センター精神保健研究所精神生理部部長等を経て、2006年から日本大学医学部精神医学系 主任教授。厚生労働省による「健康づくりのための睡眠指針2014」作成の座長を務める。著書に『睡眠のはなし』(中公新書)。
(唐仁原俊博=構成 村上庄吾=撮影)
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