2015年大晦日の総合格闘技イベント「RIZIN」では桜庭和志との日本人格闘家頂上決戦を1ラウンドTKO勝ち。日本最高峰の総合格闘家・青木真也が自身の半生を綴った著書を発表した。

青木真也(あおき・しんや)
1983年、静岡県生まれ。総合格闘家。「DREAM」「ONE FC」の2団体で世界ライト級王者となる。早稲田大学在学中に柔道から総合格闘家に転身し「修斗」ミドル級世界王者を獲得。2006年大学卒業後、静岡県警に就職するが2カ月で退職。

「人と食事には行かない。」「自分に値札をつける。」「大衆と添い寝する。」――。目次には私たちにも通じる青木の仕事への心構えが並ぶ。

「『自分の本来の目的を見つめ、そこに向けて手段を考えろ』と僕は言いたい。格闘技一本で食っていくには、自分が商品であることを常に意識しなければなりません」

ところが、その目的と手段を混同する人が多いと嘆く。

「格闘技界の人と食事に行けば、馴れ合いが生じて、自分の考えや行動がブレてしまうかもしれない。『格闘家として強くなり、稼ぐ』という目的から外れてしまう。でも、食事に行くことで仕事が取れて、稼ぐことにつながるのであればむしろ行くべきなんですよ」

青木に言わせれば格闘家もサラリーマンも同じだ。

「お金をくれる人とは、『ちゃんと寝ろ』ってことです。格闘技はテレビ放送があるかないかでファイトマネーが大きく変わる。だから視聴率を稼ぐために僕も大衆に迎合し、『興行』という名の社内政治をしなければなりません。サラリーマンだって、社内外の立ち回りをおろそかにしたら利益を生み出せないはずです」

どんなに鍛えてもリングに上がれなければ意味がない。かといって主催者側にすり寄れば単なる駒になってしまう。

「主催者側とギャラの交渉をするときも接待は受けません。お互いが対等の立場で仕事をするべきです。そのうえで、『この値段でやりましょう』と落とし所を見つける作業をし続けているんです」