数字・ファクト・ロジックで上司と徹底的に議論したり、任せられてもいない仕事をどんどんやってしまうことは、「出すぎたヤツだ」と上司から嫌われるリスクをはらんでいます。でも、リターンには必ずリスクが伴います。リスクを避けたいなら、上司から言われた仕事だけをやって給料をもらい、満足するしかありません。

それに、上司に嫌われたら困るという人はリアリズムに欠けていると私は思います。会社員は左遷される可能性のほうが高いからです。社長になれる確率を計算すれば明らかでしょう。社長になれなければ、みんなどこかのタイミングで左遷されるのです。自分だけが嫌われているなんて考えるのは幻想です。

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仕事を任せてもらうには、2つの道がある

仕事とプライベートの比重を間違えないということも重要です。人生で過ごす時間において、働いているのは3割に達しません。大切なのは仕事ではなく、食べて寝て、家族や友人と楽しく過ごす時間です。仕事なんてどうでもいいと割り切れたら、八方美人になったり上司にゴマをすることがバカバカしくなります。絶対に譲れないと思うときは上司を打ち負かすつもりで臨めます。本当にいい仕事ができるのです。

いくら議論しても上司が理解してくれない場合は、あきらめて時期を待つしかありません。このような「骨っぽい」部下になることができれば、上司はあなたに任せてくれますよ。

ライフネット生命保険 会長兼CEO 出口治明(でぐち・はるあき)

1948年、三重県生まれ。京都大学卒業後、72年に日本生命入社。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを歴任。2006年にネットライフ企画(現・ライフネット生命)を設立し、社長に就任。13年6月より現職。
(構成=大宮冬洋 撮影=市来朋久)
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