04年に中途入社し、前職から営業一筋の高原。ニーズを捉えた大胆で引きの強い企画に定評がある。「インパクトのある仕掛けでなければ、トレンドは変わらない」が持論。発泡酒や新ジャンルが売れる量販店で、プレミアムビールの流れをつくろうと、冷蔵ケース一面をザ・プレミアム・モルツで埋め尽くすというプレモルジャックを敢行したこともあるそうだ。

「イオン様は私たちと同じく地域密着の営業なので、そこに合致する企画かというのは常に意識します」(高原)

イオンのお客さまが「イオンで何を買うのか」「イオンをどう思っているのか」などを現場で調査し、自分なりの分析を加えて案を練る。

「キャンペーンやフェアはお取引先の売り上げが伸び、なおかつ、お客さまに喜んでもらえるものでないといけない。その結果が、ビールの販売数にも結びつきます。毎週、近畿でのビール販売数のシェアが出るんですが、それが自分にとっての通信簿です。他社が仕掛けてくる中で、『じゃあ、自分は何をするんだ?』と常に問いかけています」(高原)

今後の課題は「ザ・モルツ」。若者をターゲットにしたこのビールの魅力を伝える企画を目下、模索中だ。

(文中敬称略)

サントリービール社長 水谷 徹氏 「プレミアム市場を開拓できたワケ」

今年上半期はビール、新ジャンルともに好調で、過去最高の販売数量とシェアをマークしました。好調の理由は新しい提案をするだけでなく、それが定着する作業を怠らなかったためでしょう。

たとえば、「ザ・プレミアム・モルツ フェスティバル」は全国17都市に広げて開催。全国の様々な企業のオフィスや工場などでもおいしさを体験していただくセミナーを開いています。ブランドは地域に密着して初めて定番になります。地元で愛される企業の方に愛してもらえれば、その土地に根付けると考えています。

今後は味をブラッシュアップしつつ、「マスターズドリーム」や「ザ・プレミアム・モルツ 香るエール」でおいしさの幅も伝えていきたい。選ぶ幅が広がることで、若者にビールの楽しさを知ってもらう機会にもなるでしょう。

被災した九州熊本工場は樽生ラインから稼働させる予定です。11月に仕込みを開始して、12月には「ザ・プレミアム・モルツ」の樽生を料飲店さまにお届けできる見通しです。
(矢木隆一(水谷社長)、森本真哉=撮影 PIXTA=写真)
【関連記事】
サントリーが「プレミアムモルツ」の味を変えた真の狙い
絶好調のサッポロ、近畿圏強化で「売り場拡大」
なぜ、パーッと飲み食いする人ほど、減量に成功し、お金が貯まるのか