夫が家事をする気を失う「残念な声のかけ方」

【秘訣その3:簡単な家事を手始めに夫の協力を得る】

最後は、秘訣その3です。

日本総合研究所のアンケート調査結果によれば、第一子出産後、離職をした女性のうち、「全体の家事の80%以上を自ら行っている」と回答した女性は、85.0%に上ります(図表2)。要するに、家事のほとんどを、ほぼ自分ひとりでやっているということになります。

図表2:家事の負担が離職の原因?

この結果から言えること。それは、これから再就職をし、その後も仕事と家庭を両立させるためには、家事分担の見直しを中心に、夫からのなんらかの協力を得ることが必須であるということかもしれません。

ただ、再就職を希望する主婦にヒアリングをしてみると、こんな意見がありました。

「男性は言わないと気づかない生き物だと思っているので、自発性は全く期待していない。せめて頼んだことをやって欲しい」
「言われなくても、自分のことは、自分でしっかりやってほしい」

というわけで、再就職に向けて、夫にこれから分担してもらいたい家事を尋ねると……。

「食器等の洗い物」
「お風呂やトイレの掃除」
「(夫の)古くなった衣服の買い替え」

などがあがりました。「料理」のように手間隙がかかり比較的ハードルの高い家事への期待は低く、夫の身の回りのことも含め、ごく簡単な家事だけでもやってほしいというのが妻側の本音だと感じます。

あとは、夫が家事参画することを承諾するかどうかですが、ここで問題がひとつ。せっかく夫が承諾したにもかかわらず、妻の「モノの言い方」で台無しというケースが少なくないのです。

筆者は、ある男性管理職から直接聞きました。

「(自分が)一生懸命家事を手伝っているのに、自分が洗った皿を妻がすぐに洗い直し、自分が掃除機をかけた後に妻がまた同じところに掃除機をかけるのを見てやる気を失ってしまった」

手伝う夫の意欲を半減どころか消滅させてしまっては、夫婦の家事分担の実現はますます難しくなります。大事なのは、最初から夫に完璧さを求めず、些細なことには目をつぶり、簡単な家事から夫に徐々に任せて慣れてもらうこと。それが、妻自身の負担を軽くし再就職を実現した後も働き続けられる環境づくりにつながるのではないでしょうか。