出産した女性は「頭を使って働くようになる」

【秘訣その2:働く時間に制約があることを自分の強みにする】

女性の活躍推進に向けて、政府は女性の就業率向上を目標に掲げています。しかし第一子出産を機に半数以上の女性が離職をしてしまい、一度離職をした女性が再就職をすることは容易なことではありません。

日本総合研究所の東京圏で暮らす25~44歳の東京圏に所在する4年生大学または大学院を卒業した女性を対象にしたアンケート調査結果によれば、第一子出産後、約半数の女性が「やりたい仕事であれば、仕事以外の時間が削られても仕方がない」という気持ちが弱くなった、と回答としています。

それと対照的なのは「自分の能力やスキルを活かすために働くことが重要だ」という気持ちに「変化がなかった(出産前に比べ、その気持ちが減っていない)」と回答した女性は約6割に上り、さらに「そのような気持ちが強くなった」と回答する女性も約2割存在していることでした(図表1)。

図表1:出産で脱・仕事至上主義になる女性

つまり、子育てなどの事情から、時間の面で仕事を優先したいという意欲は減少するものの、自分の能力やスキルを活かして働きたいという意欲に変わりがないことが分かります。

子育てなどで時間に制約があることで、残業をすることができず、負い目に感じる女性も少なくありません。しかし逆に考えれば、働く時間に制約があるからこそ、限られた時間で成果を出すために優先順位を考えながらきちんと計画を立て、急な調整が必要なときのために業務が滞らないように業務を可視化しておくといった工夫も生まれやすくなります。

前出・Warisの共同代表・田中美和氏はこう言います。

「登録者の8割はワーキングマザーですが、多くの方々から子どもが生まれたことが働き方を見直すきっかけになったとお伺いしています。『質の高い仕事』を『濃く(時間の長さではなく)』やりたいと感じている女性は多い」

自分なりのやり方が見つかるまでは、試行錯誤の連続かもしれませんが、限られた時間で高い成果を出す働き方を実現していくことは、元バリキャリで働いていた主婦ならではの強みにもなると感じます。