「名士」が地域をダメにする?

地方の行政、新聞社、電力会社など、地方の雄とされる人たちは、地元の有力高校を出たあと、地元の一流大学に進んだか、東京か関西かの一流大学に進んだ後、地元に戻ってきた、という経歴が多い。いわゆる地元の名士であり、地方において、それ以外の人はなかなか出世できないという風土がある。

名士には一定水準の生活が保証されているようなもので、そもそもリスクをとる必要はない。本来は優秀な人ほどリスクをとることで高いリターンが得られるはずだが、優秀な人たちがリスクの低いところにのみ込まれる仕組みになっている。それでは地方はよくならない。

そして、リスクテイクを好まない人たち、かつ、ビジネスを展開したことない人たちが行政や地元経済の中心におり、地方の創生について考える、ということになる。冷静に考えれば、ブラックジョークのようなことが起きているのである。

例えば起業家は、いかにコストを抑えてリターンをあげるかを考える。商店街の空きスペースに廃材を並べて洒落たカフェや雑貨屋をつくり、従来の1/3、1/4の設備投資で売上をあげていくというような発想の人が多く、利益率も高い。これを行政がすると、まずはきれいな箱物をつくり、そこから人を集めようという発想になる。真逆ともいえる発想である。それでは利益を生み出すような、雇用を生み出すようなプロジェクトの実現は考えにくい。