村上春樹は何を食べているのか

刊行は2014年末なので決して新しくはないながら、夏休みにぜひお勧めしたいのが、『天才たちの日課 クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティブでない日々』(メイソン・カリー著、金原瑞人/石田文子訳、フィルムアート社)。

『天才たちの日課 クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティブでない日々』(メイソン・カリー著/フィルムアート社)

これは非常にユニークで、そして刺激的な本だ。小説家、詩人、芸術家、哲学者、研究者、作曲家、映画監督など161人におよぶクリエイターたちの、日課、スケジュール、ライフスタイル、部屋での過ごし方、食事や酒に代表される嗜好品などについて、淡々と事実だけを記述しているのである。

登場する人たちも、フランシス・ベーコン、モーツァルト、ベートーヴェン、キルケゴール、マルクス、フロイト、ユング、村上春樹、スティーヴ・ライヒ、ゴッホなど多種多様。気になる人の日常を垣間見るのはやはり楽しいし、彼らの大半が、意外なほど“普通”の暮らしをしていることを実感できるのも魅力。ぱらぱらとページをめくり、気になる人のパートを拾い読みしていくだけでも、充実した気分を味わえるだろう。