若者こそ長期的な政策に注目を

私が経験者として若い人たちに伝えたいのは、「過去にできないと思ったことは、みんな実現している」ということです。例えば山手トンネル。石原氏は当選後、第1回目の予算査定で、「おれが生きている間にできないプロジェクトに予算をつけない」と言いました。私たちは「石原さんが生きている間にできますよ」と保証しました。山手トンネルに予算がつき、その後13年半の間、石原氏は1票にもならない山手トンネルに予算をつけ続けました。その山手トンネルが完成したのは2015年、石原氏が辞めた後です。山手トンネルにより羽田空港と新宿はバスで30分になり、東京の都市構造が変わりました。

鈴木都政時代の大江戸線も、石原都政時代の羽田空港4本目の滑走路もその後、実現しました。完成式典は別の知事がやることになりますが、10~15年かかるプロジェクトがみんな実現しているんです。

今回の都知事選でも、候補者が長期的な政策をきちんと語っているかどうかは重要なポイントです。若い人にとって、自分たちが社会の責任者として活躍する20、30年後に実現するプロジェクトはとても大切ですから。

青山やすし(あおやま・やすし)(「やすし」は、「にんべん」に「八」「月」を重ねたもの)
明治大学公共政策大学院教授、博士(政治学)。1943年東京生まれ。中央大学法学部卒業。67年都庁に入り、37年間勤務。都市計画局課長、高齢福祉部長、企画審議室計画部長、政策報道室理事などを歴任。石原慎太郎知事のもとで99年5月から2003年5月まで東京都副知事(危機管理、防災、都市構造、財政などを担当)。郷仙太郎のペンネームを持ち、在職中から作家活動。04年4月から明治大学公共政策大学院教授に就任。著書に『石原都政副知事ノート』(平凡社新書)、『東京都市論』(かんき出版)、『小説後藤新平』(学陽書房)など多数。
(構成=末岡洋子 撮影=向井渉)
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