現地の民にとっても、商品が売れなければ、意味がない。そこで県が徹底するのが、外国人目線を中心に据えることだ。古田知事が話す。

「有名店オーナー、旅行関係者、デザイナーなどオピニオンリーダー的な方に岐阜に来てもらい、その方の目線で目利きしてもらうのです。現地の民の皆さんも自らリスクもコストも背負って、ビジネスとして岐阜フェアなり、商品開発を行うので、本当に自分で売ってみたい商品や情報を選んでいかれる。現地で売れれば、岐阜のファンが増え、今度は行ってみようかと思うようになる。そうやって東南アジアでは着実にファンが増えていったのです」

現地の民が利益を挙げれば、日本の民も利益を得られる。双方にメリットがあるWinーWinの事業を組み立てるのが岐阜モデルの第2の特徴だ。

成功法則3:「日本の民」を過保護にしない

一方、「日本の民」に対してはどうか。官民連携の海外プロモーションでよく見られるのが、知事が地元の観光連盟や事業者を引き連れて出かけるパターンだが、「岐阜は“大名行列”は一切やらない」と古田知事はいう。

「現地での私の日程を完全オープンにし、県内関係者は興味のある行事を選んで現地集合で参加する。補助金もなし。自分でコストをかけ、成果につなげようとするから本気度が違います」

岐阜のメーカーでは参加をきっかけに、海外で独自のネットワークをつくり、セールスに成功するケースも出ているという。前出の加藤氏も、「日本の民間業者に自分の判断と負担で参加してもらうため、行ってみたいと思ってもらえるような仕かけを用意する。それもわれわれの役割です」「日本の民」はあえて過保護にせず、自己責任を求める。これも異色だ。