インテリジェンスで、エンジニアのためのコミュニティスペース、dots.のマネジャーを務める小沢宏美さんは、大学時代パソコン操作もほとんどできないほどITコンプレックスがあったという。現在入社10年目の小沢さんはすでにパソコン世代のはず。だが、周囲の友人が難なくパソコンを操作する姿を見て、何が楽しいのか理解できなかったという。

しかし、インテリジェンス入社後、ITエンジニアの転職支援を行うキャリアコンサルタントの職に就く。顧客を転職させるためにエンジニアについて学ぶことが必須だった。エンジニアとはどんな仕事なのか、プログラマーとは何をするのかというところから始まり、顧客の悩み、問題などを聞くうちに知識も少しずつ身についた。エンジニアのやっている仕事の凄さもわかり、尊敬するようになったという。

より深くエンジニアと関わる仕事をしたいと思った小沢さんは、現職に立候補する。さらに、自分自身にもプログラミングの知識が必要と感じ、dots.立ち上げ前の昨年6月、会社にいかずテックキャンプに毎日通った。

「プログラムを実際につくってみて、最初はすごく大変でした。でも今、dots.でエンジニアに向けたセミナーを自分で企画から開催までしているのですが、プログラムの知識を得たことで、より彼らに刺さる企画を考えられるようになったし、彼らの話を深く理解できるようになったと思います。セミナーの司会進行も行うのですが、これも知識があるとないのでは違ったと思います」(小沢さん)

プログラミングができるようになって、新しい発想も身についた。例えば、毎週行われる会議であれば、プログラミングを改善して、前日に会議のアジェンダを自動で制作するアプリケーションをつくったり、既存のアプリを改善して自分が必要な情報収集を自動化したりすることが可能なんだという発想がわくようになったという。

話を聞いた卒業生は、プログラミングを身につけたことで、仕事の幅が広がったり、新しい仕事につながったりと知識をうまく活用していた。また、3人が口を揃えて言っていたことは、「コミュニケーションが正確でスムーズになった」ということだ。

ビジネスシーンで英語が共通言語になっているように、あらゆる領域でのIT化が加速する今の世の中では、プログラミングスキルは共通言語になりつつある。仕事の進行も判断もスピードが要求される中、エンジニア職と非エンジニア職にコミュニケーション齟齬が生じ、時間や費用を取られるようでは元も子もない。また、管理職にもプログラミングの知識がないと、的確な指示が出せなかったりスピーディな経営判断ができないといったケースが今後、起こりうるだろう。

今年、某大手上場企業が、非エンジニア職の内定者100人に短期のITスキル習得プログラムを受講させたという。プログラミングスキルはエンジニアだけに必須なスキルではなくなりつつあるようだ。

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