女性活躍の状況に数値目標を設定

4月1日から女性活躍推進法が施行されて、従業員数が301人以上の企業に4つの義務が課されることになった(300人以下の企業は努力義務)。

自民党の女性活躍推進本部から提言を受け取る安倍首相(2015年6月/写真=時事通信フォト)。

まず1つは、自社の女性の活躍状況を把握して、課題を分析すること。最低限把握しなくてはいけない項目は法律で決まっている。「採用者に占める女性比率」「勤続年数の男女差」「労働時間の状況」「管理職に占める女性比率」だ。

2つ目は、浮かび上がった課題を踏まえて目標を設定して、目標達成に向けた行動計画を策定し、社内に周知、社外に公表すること。同法は10年間の時限立法なので、行動計画も今年から10年間(平成28年度~37年度)で、2~5年に区切って策定する。

目標はいくつ掲げてもいいが、最低1つは数値で示す必要がある。たとえば女性の管理職が少ないことが課題なら、「管理職の女性比率を40%以上にする」というように、具体的な数値目標が必要だ。

気をつけたいのは、女性の活躍を後押ししたいばかりに、逆差別をすること。たとえば「女性を優先的に昇進させる」というのは男女雇用機会均等法に抵触するのでアウトだ。

3つ目として、策定した行動計画を都道府県の労働局に届ける義務がある。

さらに4つ目として、法律で定められた項目について情報公開する義務がある。公表先は、自社のホームページや厚労省が運営する「女性の活躍・両立支援総合サイト」でもいい。労務問題に詳しい千葉博弁護士は、「肝は情報公開」と指摘する。

「行動計画や女性の活躍に関する情報の公開を義務づけることによって、女性の活躍にどれだけ真摯に取り組んでいるのかが可視化されます。それを見て積極的に取り組んでいる企業に女性の求職者が集まれば、企業は競って取り組みを強化するかもしれない。そのような理想的な流れをつくることが政府の狙いです」