なんとかスバルの牙城の切り崩しを

実際に運転してみても、その安全な走りについては実感できた。筆者は雪道を走るのが初めてだったため、スリップして道路脇の雪に突っ込んでしまうのではないかと運転前に心配したが、そんな心配は無用だった。シャーベット状の道路、アイスバーンの道路、そして雪で轍ができた坂道と次々に走ったが、全く滑ることもなく、思うとおりに運転できた。アイスバーンで急ブレーキをかけても、横滑りすることなく、ちゃんと停止した。

「ドライバーが万一できないところをクルマが肩代わりする。それによって、ドライバーとクルマが一体となって安心・安全な運転環境をつくっていく。それがマツダの考える安全。マツダの車に乗るすべてのお客様に安心で安全にクルマの運転を楽しんでいただきたい」とパワートレイン開発本部長の廣瀬一郎執行役員は話す。

試乗会の終了後にはこんな出来事もあった。有志で大型バスに乗って山奥の秘湯、天人峡温泉に行った時のことだ。あと少しで目的地に着くところで、バスが雪の積もった坂道でスリップ。何度挑戦しても登ることができずにいたら、その横を一般ユーザーが乗るマツダ車が難なくその坂道を登って行ってしまった。

マツダは国内市場が前年割れのなか、前年よりも24.1%も販売台数を伸ばし、今絶好調といっていい。フォルクスワーゲン(VW)のディーゼル不正問題で、マツダのクリーンディーゼル車に影響が出るのではないかと心配されたが、ほとんど影響が出ていないそうだ。

今後はクリーンディーゼル車に続いて4輪駆動車でも攻勢をかけていくという。その4WD市場では、現在スバルが圧倒的に強い。その人気ぶりはすさまじく、いくらクルマをつくっても足らず、全世界で3カ月待ちの状態が続いている。

マツダはこれをチャンスと見ており、待ちきれないお客をマツダ車に取り込もうというわけだ。「いつまでもスバルにいい思いはさせない」(マツダ関係者)と、なんとかスバルの牙城を崩そうと考えている。これから4輪駆動車でもマツダの車が注目されそうだ。

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