靴は人目につかない場所へ揃えて置く

ファーストクラスに限らずジャケットやコートを預かりますが、そのときに感心することがあります。座席や背もたれにポンと投げて「片付けておいて」という人も中にはいますが、ファーストクラスのお客様はご自身の衣類をとても丁寧に取り扱います。私たちはハンガーを持ってジャケットやコートを受け取りにいきますが、CAが扱いやすいように向きを変えて持っていてくれたり、「自分のものは自分でかけるよ」と自らかける人もいます。クルーへの気配り同様、ご自身の衣類を大事になさる姿勢に感心しました。

また、搭乗後、みなさんプリセットされているスリッパに履き替えますが、脱いだ靴の置き方にも配慮を忘れません。脱いだ靴をきれいに揃え、邪魔にならないよう通路から遠いところに置きます。しかも靴の中が見えないよう用意してあるミニ靴べらやシューズクロスで隠したりします。機内であっても公衆の場であることをわきまえ、人前での振る舞いに気を配ることは、「あの人かっこよくて、人間ができてるよね」といわれる条件の1つだと思います。

レディファーストを心得ていることも「かっこいい男」の特徴です。ファーストクラスのお客様は、機内では必ず女性にお手洗いを譲られますし、機内の狭い通路で、私たちCAにも「お先にどうぞ」と先を譲ってくださいます。ファーストクラスの常連からは、「上客だから、優遇されてあたりまえ」という驕りは感じられません。体格の良い男性のお客様でも、女性1人で持ち上げられないほどの重いキャリーバッグを、「棚に上げといて」と言い、後は知らんぷりという人もいますが、ファーストクラスではそういう人に出会ったことはありません。逆に、経営者で気遣いを見せてくれた人がいます。経営者のストローラーバッグを持っていた男性秘書が、私たちCAに「これ、収納しておいて」と渡されたんです。それを聞いていた経営者の方が、「君のほうが力があるだろう」と秘書にバッグを収納するよう指示されました。それを聞いて、もう惚れてしまいましたね。たとえパフォーマンスの発言だとしても、男としての株が上がるでしょう。

女性をリスペクトできることも、かっこいいかどうかの分かれ目になります。自分の近くにいる人ではなく、全く関係ない他人や女性に気遣いができる人には、器の大きい、人格者だなと感じるもので、そういう振る舞いをすることが重要だろうと思います。

CA-STYLE主宰 
美月あきこ

元国際線キャビンアテンダントとして活躍後、CA経験者のポテンシャルを活かすサービスを提供する会社CA-STYLEを設立。人材育成コンサルタントとして全国で講演、研修も行う。
(吉田茂人=構成 小川 聡=撮影 Getty Images=写真)
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