2016年1月7日(木)

CAがひと目惚れ! ファーストクラスの男の流儀

PRESIDENT 2015年5月4日号

吉田茂人=構成 小川 聡=撮影 Getty Images=写真
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ファーストクラスといえばビジネスの成功者の証し──。その特別な知られざる空間で、彼らはどんな気遣いを見せ、どう振る舞うのか。元国際線CAが長年の乗務から分析したビジネスエリートの“かっこいいマナー”とは……。

自信にあふれた姿勢、的確に伝わる話し方

ファーストクラスのお客様を見ていると、たしかにほかのクラスとは明らかに見た目が違い、「かっこいい」ところがあります。アメリカの心理学者アルバート・メラビアンによると、人の印象を決定づける情報は「目からの情報」が55%、「耳からの情報」が38%、「言葉の内容」が7%という割合に分けられますが、ぱっと見の第一印象が大きな割合を占めていることがわかります。しかし、ぱっと見の第一印象はよかったものの会話した途端にその人の薄っぺらさが見えたり、つまらなさがわかったりして、「第二印象」でがっかりさせられたことも多くあります。

Getty Images=写真

この第二印象を保つのは本人の責任ですが、ファーストクラスのお客様で、第一印象がよく、さらに第二印象もよい人の共通点はまず姿勢がいいことです。キャビンアテンダント(CA)は搭乗機のドアサイドでお客様を迎えますが、ほとんどの人はボーディングブリッジを俯き気味に猫背で歩いてきます。その中に姿勢のいい人がいるので、「あの人はファーストクラスだろう」と推測すると、その通りファーストクラスの席に座ります。なぜわかるのかといえば、堂々と振る舞っている人は正面を向いており、目線の位置が高くなり、遠く先々まで見渡せるような視線の送り方をしているからです。よい姿勢は自信の表れであり、かっこいい男のオーラを形成する大きなファクターです。

CAはアイコンタクトといってお客様の目を見て、笑顔で挨拶します。お客様さえこちらを見てくれれば、必ず目が合うようになっています。そのタイミングはお客様次第ですが、ファーストクラスのお客様はご自身から進んで挨拶してくれますので、非常に早くファーストコンタクトがとれます。たとえばお客様をお迎えするときにこちらから「おはようございます」「ご搭乗ありがとうございます」などとお声かけをしますが、ほかのクラスではお客様から「おはよう」と返事があることは珍しい。日本人は根がシャイな国民性のためか、ニコリともしませんし、目が合ってもそらす人がほとんどです。ところがファーストクラスのお客様はCAが挨拶をする前に、笑顔で相手の目を見て「おはよう」とか「よろしくね」と話しかけてくれます。こちらも好感をもって「この方はいったい何をなさっている方なんだろう?」と後でお名前や情報を確かめると、「ああ、あの会社の経営者さんなんだ」とわかり、さすがに相手の懐に飛び込むのが上手だなと感心しました。

昔から「挨拶は先手必勝」といわれるように、最初に挨拶や意見を言った人がその場の主導権を握ります。その点でも起業して組織を大きく育て上げる経営者はイニシアチブを取るのがとてもうまいのだろうと思います。また、みなさん、トップの人間性いかんで組織が変わるほどの影響があることを理解しています。そのために自分の空気感をつくり、部下や周りの心を掴む術を熟知しています。相手を気持ちよくさせて、自分がイニシアチブを握ってしまう。するとよりよい結果が自分に返ってくるとわかっているのです。

ファーストクラスのお客様はアイコンタクトもさることながら会話も上手で、気さくに話しかけてくださるし、聞く側が苦痛になるような話し方はしません。内容もユーモアあふれる話し方で自ずと緊張もほぐれてしまいます。それに伝えなくてはならないことを理路整然と話し、「この人は結局何が言いたいのかな?」と思うような話し方をされる人は少ないですね。話がコンパクトで、きちんと頭の中でまとまっていて、相手に伝わるように的確な話し方をされます。それはきっと機内だけではなくて、お仕事でもそういう話し方をされているからこそ、機内のくつろぎの空間の中でも自然と表現できるのでしょう。

また、どんなサービスにでも、きちんと私たちの目を見て「ありがとう」の言葉を添えてくれます。「ありがとう」と言ってもらえるだけでCAは感動します。人は相手の出方によって自分の出方を決める習性があるので、笑顔や言葉に接すると警戒心やバリアが解けて、CAも「この人のために何か役立てることはないか」という気持ちになってしまうのです。

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