2015年10月9日(金)

「感謝と使命感」歴史を塗り替えた五郎丸

スポーツ・インテリジェンス【第31回】

PRESIDENT Online スペシャル

著者
松瀬 学 まつせ・まなぶ
ノンフィクションライター

1960年、長崎県生まれ。早稲田大学ではラグビー部に所属。83年、同大卒業後、共同通信社に入社。運動部記者として、プロ野球、大相撲、オリンピックなどの取材を担当。96年から4年間はニューヨーク勤務。02年に同社退社後、ノンフィクション作家に。日本文藝家協会会員。著書は『汚れた金メダル』(文藝春秋)、『なぜ東京五輪招致は成功したのか?』(扶桑社新書)など多数。

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松瀬 学=文
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望まぬ「自分だけスター」

もう、ちょっとしたスターである。ラグビーのワールドカップ(W杯)イングランド大会で歴史的2勝を挙げた日本代表のフルバック五郎丸歩(ヤマハ発動機)。沈着冷静なゴールキック、からだを張るパントキャッチ、豪快なロングキック、スペースを突く力強いランニング、そして最後の砦としての猛タックル。凛々しい顔立ちもあってか、人気はうなぎのぼりなのだ。

「人気? よくわかりません。イギリスは、日本から遠く離れていますので」と五郎丸は照れる。でも兄までテレビに引っ張りだされているというのだから、日本での盛り上がりがわからないわけがない。

「まあ、悪い気はしません。プレーヤーなので、注目してもらえるのは最大の喜びでもあります。ただ僕ひとりがフォーカスされるのは望んではいません」

謙虚である。どちらかというと、シャイなタイプである。福岡県出身の29歳。佐賀工業高校、早稲田大学で活躍し、日本代表のキャップ(国代表戦出場)数は「56」を数える。

ラグビー選手として陽の当たる道を歩んできたが、2009年のヤマハ発動機ラグビー部の規模縮小で、プロ契約から社員契約となり、人間としての幅が広がった。

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