2015年9月25日(金)

ラグビーW杯、日本の歴史的勝利のワケ

スポーツ・インテリジェンス【第29回】

PRESIDENT Online スペシャル

著者
松瀬 学 まつせ・まなぶ
ノンフィクションライター

1960年、長崎県生まれ。早稲田大学ではラグビー部に所属。83年、同大卒業後、共同通信社に入社。運動部記者として、プロ野球、大相撲、オリンピックなどの取材を担当。96年から4年間はニューヨーク勤務。02年に同社退社後、ノンフィクション作家に。日本文藝家協会会員。著書は『汚れた金メダル』(文藝春秋)、『なぜ東京五輪招致は成功したのか?』(扶桑社新書)など多数。

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松瀬 学=文
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世界ランクも9位まで上昇

地鳴りのような「ジャパン」コールが会場全体を揺らす。ラグビーのワールドカップ(W杯)で、日本が2度の優勝を誇る南アフリカに劇的な逆転勝ちを収め、24年ぶりの白星を挙げた。スタンドの日本人ファンは感涙にむせび、W杯3大会連続出場の37歳、大野均(東芝)も男泣きした。

「ブライトンの喜び、いや“ブライトンの歓喜”ですね」。“キンちゃん”と誰からも親しまれる大野はそう、笑いと涙でくしゃくしゃになった顔で言った。試合ではからだを張った。ひたむきに。相手に突き刺さって、倒れてもすぐに立ち上がって、また南アの巨漢選手にぶつかっていった。

なぜ日本は勝てたのか。エディー・ジョーンズヘッドコーチ(HC)が就任して3年半。科学的トレーニングを取り入れながらも、世界一の猛練習を選手に課してきたからである。合宿では朝5時から、1日に3回、4回も練習をしたこともある。何の勝利? と問えば、キンちゃんは即答した。

「ハードワークの勝利でしょ」

傍からみれば奇跡でも、選手たちは本気で「勝つ」と信じていた。その思いがロスタイムの逆転トライにつながった。「W杯史上最大のアップセット(番狂わせ)」「アンビリーバブル!(信じられない)」「ラグビー界最大のショック」。翌日の新聞の一面は、そんな驚きの見出しとジャパンの笑顔が躍った。

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