40代の初代長官に期待

いよいよスポーツ庁が10月1日に文部科学省の外局として発足する。初代長官には48歳の鈴木大地氏(日本水泳連盟会長)の就任が決まった。40歳代の登用は歓迎するところである。ただ肝心なことはスポーツ庁が何をやるのかということだろう。

スポーツ庁創設の目的は、複数の省庁に分かれたスポーツ関連の「縦割行政」を解消し、スポーツ行政・予算の一元化、効率化を図ることである。そのため、現行のスポーツ・青少年局が母体になって、厚生労働省や国土交通省、外務省、総務省などの職員が加わり、5課2参事官の121人体制に大幅強化される。

そこで何をやるのか。スポーツ庁の政策目標の一部は、すでに12年の『スポーツ基本計画』に、今後5年間に総合的かつ計画的に取り組むべき施策と政策目標が明記されている。施策としては「学校と地域における子どものスポーツ機会の充実」や「国際競技力の向上に向けた人材の養成やスポーツ環境の整備」「オリンピック・パラリンピック等の国際競技大会等の招致・開催等を通じた国際交流・貢献の推進」などである。

さらにスポーツ政策に詳しい間野義之・早稲田大学スポーツ科学学術院教授はスポーツ庁の新たな組織・事務分掌を踏まえ、5つの政策目標の追加を期待したいと言う。まずは1.「国民の健康寿命の延伸」である。

「新しい組織は国民の健康をもっと強調することになる。健康寿命の延伸は厚生労働省の担当だったんですが、スポーツ庁としても、国民全体のスポーツ実施率の向上を図って健康寿命を延ばしていくことになるでしょう」

これは国民がスポーツを気軽に楽しむことができる環境整備、健康サポート、例えば総合型地域スポーツクラブやスポーツ施設の整備なども課題となる。スポーツ基本法でうたう「スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことは、全ての人々の権利」をどうやって守るのか、である。

このほか2.「スポーツ外交の促進」で、スポーツを通じて“親日国”づくりをもっと本気でやらないといけない。国土交通省などからも職員が移るので、3.「スポーツを通じた地方創世」、4.「スマートベニューの推進」、5.「スポーツ産業の拡大」もスポーツ庁の使命となる。スマートべニューとは、周辺のエリアマネジメントを含む複合的な機能を備えたサステナブル(持続可能)な交流施設のことである。