【伊藤】僕はよく「幽体離脱」という言葉を使うのですが、幽体離脱して上空から第3者的に見て、どういうふうに聞き手が感じているかを意識しています。聞いている人が上司に上げる情景もイメージします。

恐らく簡単スッキリとか、ストーリーとか情熱というのは、必要条件。十分条件は、話をするときに聞き手をイメージするということ。そこで圧倒的に、伝わる、伝わらないの差が生まれると思うんです。

【小西】代理店の人って、しゃれた外来語をよく使うんですよ。普通に「KPI」とか「グロース」って得意先に言う。相手もうなずいているんだけど、実はわかっていないことも多い(笑)。

【伊藤】当たり前に言われると、知らないとは言えないですよね。

【小西】同じ話を女子高生にしろと言われたら、KPIなんて使わないじゃないですか。ちゃんとわかる言葉を選んで喋るはずなんです。

【伊藤】そもそも話してなにをするのという話ですよね。商品のコピーでいえば、お客様に商品を欲しいと思わせて買ってもらうとか、会社の方針を変えてもらうとか。結局、聞き手に動いてもらうためにやっている。ならば聞く側が内容を明確にイメージできないと、動くわけがない。

2人の対談時のメモ。概念で物事をとらえるときは、スケッチのようにメモをしていることがわかる。

【小西】「伝える」のと「伝わる」の違いって、よく言うのですけれど、例えば新人だと、コピーを書けとなった瞬間に、自分が思っていることはこうだって、まとめようとする。そして一生懸命に伝えようとする。でも、相手を意識していないから、エゴな文章になって伝わらない。

【伊藤】聞き手の立場に立って考えましょう、相手を思い浮かべながら、その人が動きたくなるようにアプローチしましょうと、言うのは簡単じゃないですか。ただ、実行するのはすごく難しいのかな。

【小西】その意識があるかないかで決定的に変わると思いますよ。100回に何十回でもいいから、相手のために書こうと思うようにすれば、少しずつ変わって、ある程度までいけるんじゃないでしょうか。