その韓国とは、安倍政権発足後の歴史認識をめぐって関係が悪化し、外交的連携は期待できない状況にある。安倍政権は「反日強硬姿勢を続けていても、韓国はやがて日本側に降りてくる」(首相周辺)と踏んでいたが、降り立ったのは北京の地だった。中国・北京の天安門広場前で9月3日に行われた抗日戦勝70周年記念行事には、習近平国家主席やロシアのプーチン大統領らと満面の笑みで並ぶ韓国の朴槿恵大統領の姿があった。中国が米国本土まで届く弾道ミサイルや最新鋭戦闘機を誇示する中、朴大統領は中国との「蜜月」ぶりをアピール。対日強硬路線で足並みをそろえ、中国が主導する国際金融機関アジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加など「日本外し」の秩序形成に余念がない。中国の覇権主義を警戒し、米国とAIIB参加見送りを決めた日本のアジア外交は冷え込む隣国関係によって手足を縛られつつある。

加えて、安倍首相が密かに目指してきたロシアとの関係改善から北方領土問題を進展させるというシナリオも、いまや頓挫している。プーチン大統領の年内訪日に向け調整に動く中、日本政府内には日露首脳会談時に北方領土の「二島先行返還」で合意するとの淡い期待も出ていた。しかし、最近はメドベージェフ首相や露閣僚が相次いで択捉島を訪問。ロシア外務次官が日本と北方領土問題に関する対話を行わない考えを示すなど、四面楚歌の状態にある。首相を支持する保守系は「四島一括返還」を求めるが、政府内にはすでに敗北感が充満する。

安倍政権は、支持率低下の要因となった集団的自衛権の行使を可能とする安全保障関連法成立により、日米同盟を強化して外交・安保環境が好転することに賭けている。米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設方針なども、その一端だ。ただ、「ポスト・オバマ」として取り沙汰される不動産王ドナルド・トランプ氏やヒラリー・クリントン前国務長官は親日派とは言い難く、米国は中国寄りの姿勢を見せる可能性も指摘されている。頼みの綱といえる日米主導のTPP交渉も合意のメドがつかず漂流が予想されており、安倍政権は綻びが目立ってきている。