ロボット事業で新たな活路

また、大田社長はこの日の会見で2つの新たな取り組みを明らかにした。その1つが海外進出だ。まず米国とブラジルでPCの販売を開始する。しかも、全く違った手法で行う。

米国では、流通業者のトランスコスモスと販売代理店契約を結び、「VAIO Z Canvas」を同社のサイトを通じて10月から販売する。また、マイクロソフトとも提携し、同社の店頭やオンラインでも販売を開始する。

一方、ブラジルでは同国PC最大手のポジティーボ・インフォマティカとパートナー契約を結び、VAIOが設計したVAIOブランドのPCをポジティーボが製造・販売する。販売機種は今後詰めるが、比較的安い機種になる見通しで、数量をさばくことによって、ロイヤリティ収入の拡大を目指す。

「海外は身の丈に合った形でリスクをきちんと管理しながら進出する。今後はアジアを中心にパートナーを探して展開していきたい」と大田社長は話し、海外の有力パートナーと組んで海外展開を行う方針だ。

そしてもう1つの取り組みが新規事業だ。特にロボット事業については大田社長も期待している。というのも、長野県安曇野市にある本社工場で、DDM.comが販売しているロボット「パルミ」の製造を請け負っているからだ。パルミの設計を担当しているのは富士ソフトだが、VAIOは同社と協力して量産ラインを立ち上げ、生産を担当している。

「安曇野には、ソニー時代にアイボつくった技術や人、設備が残っており、それを生かせる分野であれば、どんどん乗り出していきたい。うちの設計・製造技術は高い評価を得ており、受託事業が多い。富士ソフトとは次の話をしている」と大田社長は話す。

文字通り、ロボット事業で新たな活路を見出そうというわけだ。その他にも、受託事業の多いFA(ファクトリーオートメーション)やゲームなどの事業も育てていきたい方針で、2017年には新規事業をPC事業と同じ規模にしていきたい考えだ。

このように、大田社長はVAIO復活のために矢継ぎ早に手を打っていくが、大株主のファンドとの関係もあり、今後しばらくの間、VAIOの動向には目が離せなくなりそうだ。

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