ローカルとグローバルをどう両立させるかは、日本だけにとどまらない、これからの世界の普遍的な課題である。どのようなローカルな文化が、グローバル時代に人々を惹きつけていくのだろうか。

まずは、そのローカルな文化に奥行きと深みがなければならない。大相撲の力士たちは、過酷な稽古に耐えて番付を上げていく。その頂点である横綱は、圧倒的な力量だけでなく、品格が求められる。

大相撲の奥行きや深みに惹きつけられて、外国から入門する人も増えている。実際、このところの大相撲は外国、とりわけモンゴル出身の力士が大活躍だということは周知の通り。

あるシグナルに込められたエネルギーが強いほど、生物はそれを真摯に受け止める。大相撲の取り組みは、その好例であろう。

また、そのローカルな文化が、言語の壁を越えて直接伝わるものでなければならない。

大相撲の土俵の迫力は、日本語がわからなくても感じられる。行司の服装のデザインの魅力や、呼び出しのキビキビとした行動に表れる美意識は、言葉に頼らずに、直接体感できる。

日本食の魅力も、言葉を越えている。ラーメンの味は、日本語がわからなくても食べてみればわかる。職人がネタを吟味し、技巧の限りを尽くして提供する一貫の寿司の味も、言葉の壁を越えている。

鍵になるのは、身体性。「ぐっとくる」とか、「感動する」といった、言葉に依存しない、身体を通じて人間の本能に訴えかけるローカル文化が、これからの時代に輝く。

学問を追究する大学が課題を抱え、昔ながらの身体感覚を受け継ぐ大相撲が輝きを増す。日本の将来を考える上でのヒントがここにある。

(写真=時事通信フォト)
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