「特別な大会」前に落選

メンバー交代でベンチにさがる際、澤穂希の笑顔に充実感が漂った。8日(日本時間9日)、バンクーバーでの女子ワールドカップ(W杯)カナダ大会の初戦。「なでしこジャパン」はスイスを下し、白星発進した。試合後、澤はテレビインタビューでこう、話した。「節目の日を勝ち点3で終われたのは非常にうれしいです」と。

15歳で日本代表に初めて選出されて以来、これで代表通算200試合目となった。ざっと20年余。4年前にはなでしこジャパンのW杯初制覇に貢献し、国際サッカー連盟(FIFA)女子最優秀選手賞にも輝いた。2012年ロンドン五輪では銀メダルを獲得した。もう36歳。それでも世界の第一戦で戦い続けるワケは何なのだろう。

まず1つ目は代表漏れの「悔しさ」である。澤は昨年5月のアジア杯後、代表に選ばれなかった。年齢ゆえの体力の衰えはある。昨年の終盤、けがもしてしまった。だがコンディションをきっちり整え、「何歳になっても特別な大会」と表現するW杯に戻ってきた。

6度目のW杯出場となった。これは男女を通じて初の快挙である。佐々木則夫監督の信望も厚く、背番号10は澤と決めていたに違いない。澤にとって、これが最後のW杯。初戦の後、澤はこうも漏らした。「久しぶりにドキドキ感と緊張感もあって、その中で楽しくサッカーができました」と。