2015年6月5日(金)

ブラッター会長辞任表明で混迷! 「巨大利権組織」FIFAの深い闇

スポーツ・インテリジェンス【第13回】

PRESIDENT Online スペシャル

著者
松瀬 学 まつせ・まなぶ
ノンフィクションライター

1960年、長崎県生まれ。早稲田大学ではラグビー部に所属。83年、同大卒業後、共同通信社に入社。運動部記者として、プロ野球、大相撲、オリンピックなどの取材を担当。96年から4年間はニューヨーク勤務。02年に同社退社後、ノンフィクション作家に。日本文藝家協会会員。著書は『汚れた金メダル』(文藝春秋)、『なぜ東京五輪招致は成功したのか?』(扶桑社新書)など多数。

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松瀬 学=文 AP/AFLO=写真
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幹部摘発にプーチンは激怒!

国際サッカー連盟(FIFA)ゼップ・ブラッター会長(AP/AFLO=写真)

国際サッカー連盟(FIFA)は利権の塊である。ワールドカップ(W杯)などの巨額の放送権料、スポンサー料……。だから私利私欲を満たす輩が現れ、不正な金が飛び交う。熾烈な権力闘争も展開されることになる。

総会の会長選挙で5選を果たしたばかりのゼップ・ブラッター会長(スイス)が急転直下、辞意を表明した。なぜか。「反ブラッター」で結束するヨーロッパ勢の批判か、巨額の金を投じてきた大スポンサーの圧力か。それとも、米国やスイスの司法当局による捜査が我が身に迫ってきたからか。

どだい、79歳のブラッター会長は判断を誤っていた。巨額汚職事件が発覚したとき、トップの責任をとって辞めるべきだった。FIFAには組織ガバナンスもコンプライアンスもないことを世界に示し、追い詰められての退場劇である。

事の発端は、W杯などの国際大会の放送権をめぐる贈収賄などの疑いで、米国の司法省がFIFAの副会長ら14人を起訴したことだった。よくぞ、やったと思う。米司法省と傘下のFBI(連邦捜査局)、IRS(内国歳入庁、いわゆる国税庁)が合同で捜査にあたり、大規模な摘発に踏み切ったようだ。

オバマ大統領の人気取りという声も聞こえる通り、米国の政治的側面もあるだろう。とくにサッカーの熱狂的なファンが多いヒスパニック系はサッカーの腐敗の浄化を喜んでいるに違いない。さらに「アメリカのロシアへの政治的な圧力でしょう」とスポーツビジネスの専門家は言う。

「FIFA幹部を摘発することで組織の汚職体質が明らかになり、FIFAのイメージダウンは免れません。次のサッカーのワールドカップ(2018年大会)を開くロシアだって打撃を受けるでしょう。ウクライナを巡るロシアと欧米の対立があり、ロシアW杯のボイコット騒ぎに発展するかもしれません」

だからだろう、ロシアのプーチン大統領は即座に反発した。外電によると、「他国に権力を拡大しようとする試み。(逮捕が)ブラッター氏のFIFA会長再選を阻止する意図があることは明瞭であり、国際機関の運用の原則に対する極めて重大な違反行為だ」と怒りを爆発させている。ロシアはずっと、ブラッター会長擁護に回っていた。

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