2015年6月17日(水)

なぜ時短を実施するスタートトゥデイが朝から「手話」を学ぶのか

潜入!伸びている会社の朝ミーティング

PRESIDENT 2013年7月29日号

著者
大宮 冬洋 おおみや・とうよう
フリーライター

大宮 冬洋1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリング(ユニクロ)に就職。退職後、編集プロダクションを経て、2002年よりフリーライターに。ビジネス誌や料理誌などで幅広く活躍。著書に『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ぱる出版)、共著に『30代未婚男』(生活人新書)などがある。実験くんの食生活ブログ http://syokulife.exblog.jp/

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大宮冬洋=文 永井 浩=撮影
日本企業で欠かせないビジネス慣習のひとつが朝礼だ。昭和の昔、サラリーマンの仕事は朝礼、ラジオ体操、上司の精神訓話から始まった。月日が流れ、体操と精神訓話は姿を消しつつあるが、朝礼には時代を超える効用があるのだろう。いまもビジネスマンたちは朝から元気に声を出している。

ファッションショッピング・サイト「ZOZOTOWN」で急成長を続けるスタートトゥデイ。海浜幕張駅前のオフィスで働く500人弱の社員たちは、繁華街へ遊びにいくような華やかでカジュアルな服装で出勤する。だが、朝9時前にデスクに着くなり真剣な表情でパソコンに向かう。

「(就業時間の)6時間、それぞれが業務に集中しています。以前に比べると雑談が減りコミュニケーションの機会が減っているので朝礼は大事にしています。みんなが『ろくじろう』できるように、忙しそうだとか体調が悪そうなメンバーがいれば助け合いたいと思っています」(人自部の今村愛さん)

スタートトゥデイは、2012年5月から6時間労働制(社内用語で「ろくじろう」)を実施している。9時出社15時退社が可能だ。当然、分単位で時間短縮が求められる。全社員での15分程度の朝礼は廃止され、各部署・ブロックでの朝礼も義務付けられていない。

人事部に相当する人自部では、10人のメンバー全員が顔を合わせることを重視し、朝礼を存続させた。ただし、ネット上で確認できる各自のスケジュール申告は最小限にとどめ、残りの時間で手話を学んでいる。なぜ手話?

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(上)人自部(人事部に相当)のユニークな手話朝礼。(右下)障がい者採用のリーダー今村愛さん(左下)時短推進のためにつくったキャラクター「ろくじろう」。

「聴覚障がいの方と一緒に働く機会が増えているからです。私たちは採用面接にも立ち会います。そこで手話通訳や筆談に頼るだけではなく、本人の気持ちを直接聞けるよう毎日1フレーズずつ手話を覚えることにしました」

6月中旬の平日に人自部の朝礼を見学した。9時になると出社していた8人のメンバーが立ち上がって輪になり、「2人はZOZOBASE(物流拠点)に直行です」

「了解しました!」というやりとりを手短かに済ませる。1分弱で連絡事項を終えると、新卒メンバーが講師役となって手話を披露。

「ご質問はありますか。何でも聞いてください」という意味らしいが、教本で学んでいるという講師自身もたどたどしい。「それって、創作手話?」と先輩たちから突っ込みが入り、笑いが起きる。全員で何度か練習をし、発音と手話で

「今日も1日よろしくお願いしまーす!」で5分間ほどの朝礼が終わった。スピーディかつ和やかだ。

仲間との意思疎通を図り、信頼関係を高めるのが朝礼本来の意義だろう。ならば、スタートトゥデイの「手話朝礼」も特に奇抜な取り組みではないのである。

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