おじさんが喜ぶ居酒屋食事療法

「血清亜鉛の77という数字は重篤な欠乏状態です。アルコールの代謝で大量に使われている証しでしょう。ここには入っていませんが、伊藤さんのMCV(平均赤血球容積)は98です。通常ヘモグロビンが13.3へ下がっていたら、MCVは93くらいになるもので、ビタミンB12か葉酸の不足が疑われますね」

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限りなく「ヤセ」に近い編集部員・伊藤のBMI

恐るべしオーソモレキュラー。単なる基準値との比較ではわからない問題点を次々と炙り出しながら、健康に対するボクの自信を無残にも打ち砕いていく。よく見ると総合評価は、「D(要治療)」で「顕著な栄養障害が見られます」だ。患者思いの溝口院長の見立ては容赦なく続く。

「空腹時血糖が84で確かに正常値なのですが、血糖値のコントロール状況を示すグリコアルブミンは15.3。通常だと14くらいで、それよりも高いということは、血糖値が一時的に上昇しがちなようですね。お酒でフリーラジカル(活性酸素)が増えて、体の中の細胞膜が弱くなると引き起こされます。実際に間接ビリルビンが0.8と高く、その傾向が読み取れますよ」

生地・船橋のご当地非公認キャラ「ふなっしー」ばりに感想を述べるのなら、「おみそれいたしましたなっしー」とおどけて自分を誤魔化すしかない。見ず知らずの人の毛皮のコートを着て帰ったり、貴重品や大事な書類が入っていたであろう他人の鞄と取り違えたり、酔っては人様にご迷惑をかけてきた因果応報が、こんな形で表れてきたのか。

「どうしたらいいなっしー」。藁にもすがる思いで溝口院長に教えを乞うた。

健康には自信があったボクだが、デスクの厳命でオーソモレキュラーの健診を受けることに。

「細胞膜を丈夫にしながら、血糖値を上げないように糖質制限の食事を心がけましょう。タンパク質をたくさんとって、炭水化物を少なくするのがポイントです。男性の場合、居酒屋の活用がお勧めですよ。お肉やお魚、それに冷や奴や野菜サラダなどが単品で選べるからです。どうしてもご飯が食べたかったら、最後におにぎりでも頼んでください」

“居酒屋食事療法”ですか!なんと素晴らしい。呑兵衛のオヤジにとって、やっぱり居酒屋は強い味方なんだな。大手を振って毎晩暖簾をくぐらせてもらいますよ。でも気になるのはアルコールだ。

が、そこでのアドバイスは“死刑宣告”に値する内容だった。「血糖値を上げないために、ビールと日本酒は控えましょう。飲むのなら焼酎かウイスキーですね」。生ビールで喉を潤し、世界に誇る“国酒”の日本酒を嗜むのが慣わしになってきたボクは、悲しいかな健康という名の“外圧”による“構造改革”が待ったなしとなったのだ。

それと食事で不足した栄養素をとるのには限界があって、サプリメントで補うのだが、ボクの場合は8種類のサプリがおススメだとか。そのうち錠剤のものが5種類あって、1日に合計43粒も飲む計算になる。考えただけで「ゲップ」が出てきそうだ。そこで食事とお酒は言いつけを守ることを条件に、サプリの“厳選”をお願いして、ビタミンBを補給する「NB comp A」と「ナイアシン150」を、毎日6粒と9粒ずつ飲むことになった。