寝る前のスマホはエスプレッソに匹敵

まずは、基本的な睡眠の環境づくりからみていこう。

1)寝る数時間前にぬるめの湯につかり、副交感神経の働きを高める。
2)部屋を暗めにして、睡眠ホルモンメラトニンを分泌させる。
3)神経を休める音楽を聞いて、リラックスする。
4)身体を動かす、疲労させる。軽い動きで血行を良くする。
5)寝るときには、光と音を遮断する。
6)90分の倍数の睡眠時間とし、ノンレム睡眠時に起きる。

何をいまさらと思われるかもしれないが、寝る前にスマートフォンの画面を見ることは、エスプレッソ一杯に匹敵する覚醒効果があるとされる。こうした基本を守ることはそう簡単ではない。書類を読み続けた目を休めずにまた深夜のテレビを見てしまうことも同様だ。

私たちは眠っている間に記憶を整理し、脳のメンテナンスしていくのは前述したとおり。さらには睡眠によって目も休めるために、朝に目覚めたときがもっとも脳がスッキリ働く。そのため、朝の太陽の光をあび、午前中に頭を使う作業を行い、眠くなる昼食後には外回りなどの仕事をするとより効率があがる。脳内をスッキリさせて仕事の効率をあげるためにも、ときにはエンジンを切って静かに目を閉じる時間をしっかりとり、オーバーヒートしないようにしたい。

「有能なリーダーというのは、タイタニック号が沈没するときに指揮をできる人物ではなく、ぶつかる前に氷山を見つける力を持つ人物だ」とハフィントン氏は提議している。充分な睡眠が危機管理の第一歩となり、氷山は避けられるかもしれないのだ。

私たちも、充実した睡眠を確保することで、まずは脳内にたまったゴミを排出してスッキリとした視界と脳をつくりたい。これで氷山を見逃すことなく、より一層ビジネスの海をスムーズに航海できるようになりそうだ。

[脚注・参考資料]
Arianna Huffington, How to succeed? Get more sleep, TED Women 2010, Filmed Dec 2010
Chris Weller and Elijah Wolfson, Clearing Your Brain’s Cache, News Week, Oct 23, 2013
「脳の老廃物排出、就寝後にスピードアップ」, AFP, 2013年10月 ワシントンD.C./米国
「睡眠に関する意識調査」(グラクソ・スミスクライン株式会社,インターネット調査)
(有効回答数:全国20歳~59歳有職男女1,600人  実施時期:2010年3月)
「正しい睡眠マニュアル」、日立ソリューションズサイト
「ねむログ」、みんなのデータ、睡眠時間は、職業や労働時間によってどれほど異なるのか

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