オジさん社員もアイドルダンスに夢中

さて、そんなアイドルダンス。レッスンに来るのは9割5分が女性だというが、実は別の場所で密やかに汗を流す「オジサン」たちが存在する。

「うちはスタジオで行うレッスンとは別に、個別出張でダンスを教えています。その枠で、サラリーマン男性のニーズが一定数あるんです。これまで受注してきたレッスンの課題曲は少女時代、AKB48、嵐、Perfumeなどで、大体2時間レッスンを4~5回でまるまる1曲完コピできるようにしています」

個別レッスンの大半は、企業で団体申込みするケース。

「『歓迎会や送別会などで盛大に見送りたいので』と言って、ももクロZのダンスを習得されたり。男性が女性アイドルのダンスを習う理由はその方が盛り上がるから、これに尽きるでしょう。本番は衣装もつけて踊るので、さぞ大盛況だったと思います」(同上)

▼5歳の娘のために嵐を踊る父

聞けば、発起人はノリノリだが無理やり参加させられている様子のサラリーマンも多いとか。ところが、レッスンしているうちにだんだん楽しくなり、「『踊った後のビール一杯がたまらなくウマい!』『ダンスのおかげで部署が明るくなった』と話す男性レッスン生もいる」という。

男性用の大きいサイズのコスチュームも販売されている。「変装」してダンスすればウケること間違いなし(※写真提供:マジックマーケット楽天市場店)

当の本人たちはどんな心境なのか。レッスン後、「ウマいビール」のほかに何を得られたか? 団体で受ける人が多い中、「単独」でレッスンを申し込んだサラリーマン男性2人に聞いてみた。

「5歳の娘のために猛特訓した」と話すのは、35歳の高岡祐二さん(仮名・メーカー営業)。

「娘が嵐のファンなので、『Endless Game』を習うことに。ダンス未経験でリズム感が全くなかったので心配でしたが、娘のために家でも予習復習に励みました。やってみると運動不足解消にもなるし、なにより楽しい。最後は1曲完コピできた達成感で、娘が喜ぶことより自己満足のほうが大きかったですね」

未経験のオジサンがゼロから始めた嵐。これをマスターしたときの感動は、富士山登頂時のように深かったはずだ。