2015年2月4日(水)

お客を掴んで離さない「手練手管」8

PRESIDENT 2013年2月18日号

村上 敬=構成 相澤 正=撮影
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お客の心をつかむことの難しさを感じているマーケッターや営業マンは多いだろう。長引く不景気で、消費者の心もデフレになってしまった。政権交代で風向きが変わることが期待されているが、一度冷え切ったお客の心を溶かすのは容易ではない。

景気以外の要因もある。以前は市場にある商品の選択肢が少なく、消費者の望みや不満点が明確だった。だから、消費者の不満を解消するような商品を開発すれば、売ることができた。

ところがいまは成熟市場で商品がひととおり揃い、消費者の基本的なニーズが満たされている。これは仮に今後、景気がよくなったとしても変わらない。すでに満足しているお客に商品を売らねばいけないところに、いまのマーケティングの難しさがある。

しかし一方で、いまは非常にやりがいのある状況だといえる。独自の商品開発をしても競合がすぐにキャッチアップしてくるので、各社似たような商品やサービスで勝負せざるをえない。そうなると、差がつくのはマーケティングの部分だ。

ヒト、モノ、カネのリソースがなく、満足なマーケティングができないという意見もあるだろう。外資系日本法人を渡り歩いてきた私も、「もっと予算をつけてくれ」と本社に文句を言ったことがあった。すると本社役員は「リソースが潤沢にあるなら、業界歴の長い経験者に頼む。私たちがキミに期待しているのはアイデアだ」といった。たしかにその通りだ。いまはどの会社もリソースに余裕がないが、だからこそアイデアが大事になる。お客の心をつかめるかどうかを予算のせいにしてはいけない。発想を柔軟にすれば、いまからでもやり方はあるはずだ。

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