「購読解約が止まらない」

このテーマが見当たらないという点では、朝日社説の声欄(voice)も同じ。8月の検証記事の掲載以降、8月29日まで慰安婦報道に関する読者の声が掲載されていない(8月30日に初めて3件の声を掲載)。

ただ、先の朝日関係者にいわせれば、「産経新聞や読売新聞の投稿欄に反原発や集団的自衛権反対の声が載るか、といったら、おそらく載らないだろう」と率直なお答え。「投稿欄は結局、その新聞社にとって歓迎すべき意見を取捨選択して載せる場だと思う」(同)。確かにその点で朝日だけを責めるのは酷かもしれない。

しかし、検証記事で「読者の疑問に答えます」とあれだけ大きく紙面を割いて検証したのだから、賛否両論あるに違いないその反応を併記してほしいというのが読者の率直な気持ちではないか。

「解約が止まらない」との一部報道記事については、深刻に受け止められているという様子も今のところはないという。「社長は、決してブレずにやっていく、と8月29日の社内向けブログにメッセージを出していた。至って意気軒昂だ」(同)というが、額面通り受け取ってよいものかは不明だ。

ネットも様変わりし、匿名で無責任な批判がなされた時代から、SNSでの実名による発言に重心が移りつつある。著名な言論人から市井の一般人まで、同等に議論が交わされるのはいいが、正誤とは別の言葉尻を捉えた発言が急速に拡散する時代となっている。論点をずらしたり、曖昧な理念を語る過去のインテリは、安っぽいとして切り捨てられる傾向にある。

だからこそ、朝日新聞には大きな度量で異論反論を取り込み、誤りは率直に謝罪し、間違いは間違いだと論破し、表層的で偏りのあるネットの言論に切り込んでいってほしい。今のソーシャルメディアの時代にこそ、「新聞ななめ読み」のように多面的で、自らの頭で考えさせる記事が必要な時代はない。