フリーライド感覚を味わうなら今が絶好のチャンス

充電時間が長いと、他のEVとのかち合いによってはさらに長時間待つことになる。今回のドライブでは7回の充電のうち2回、他車と競合した。1回はリーフ、もう1回はプラグインハイブリッドながら急速充電が可能な三菱自動車の『アウトランダーPHEV』であった。最近、EVの台数が増えるにつれて、急速充電スポットも場所によっては混み合うことが増えてきたという。

EVオーナーの中には、プラグインハイブリッドカーのオーナーに対して「ハイブリッドはエンジンでも走れるんだからEVに譲れ」などと暴言を吐く人も増えてきたという話を聞く。もちろんアウトランダーPHEVのオーナーも充電ネットワークの会員になっている以上、設備を利用する権利はEVと対等で、そんなことを言われる筋合いではないことは言うまでもない。充電待ちを涼しい顔で我慢できるようなハードボイルド性のない人間がEVに乗ると殺伐とした雰囲気になるので、やめていただきたいところだ。

現状では、EVはシティコミューターに向くと言われているが、短時間ドライブであれば静かだの疲れにくいだの、ましてや使用エネルギーが少ないだのといった差は正直、どうでもいい。高級車だろうが軽自動車だろうが、車から受けられる恩恵に差はほとんどない。EVも同様で、ほんの10kmエンジン音なしで走れ、ガソリンを節約できたから何だというのだと思う。かといって、一定の目的地まで長距離を走るような用途にも、途中で必ず必要になる充電時間や充電待ち時間がネックになり、あまり向いているとは言えない。

むしろEVは、行き先を明確に定めないまま、気の向くままにぶらり旅を楽しみたいようなカスタマーに向く乗り物だ。たとえば週末は都会の喧騒を離れて海や山で過ごしたいという人、あるいは退職して時間がたっぷりある人が日本各地を漫遊したりするといった用途には最高だろう。

もちろんEVの急速充電がいつまでも激安定額でいられるはずもない。おそらく、東京オリンピックが開催される2020年あたりを境に、電気代に設備費、利潤を乗せた現実的な料金が課されるようになる。それはかなり高額な水準となろう。EVで“フリーライド感覚”を味わうなら、むしろ今が絶好のチャンスである。