ニトリではお客様が同じイメージでコーディネートできるように家具やホームファッションの商品を企画・開発しています。こういった統一感のある品揃えは、まだまだ他社には真似できないところだと思います。

こうした品揃えを実現するための商品企画は、社長の私と社員たちとで議論しながら練り上げます。基本的には担当部署の社員たちがアイデアを出し合い、討論し合いながら次々と企画づくりを進めます。

そのなかで私は、全体のプロデューサー役として大きな方向性を打ち出すほか、討論の場へも積極的に参加するようにしています。

ただし、個々の商品を発売するか否かの決断は商品企画部門の責任者が行います。私が逐一、口出ししているわけではありません。

売れる商品を企画する社員には共通点があります。国内外の小売業や飲食業の店を常にウオッチしておき、そこで見つけてきた問題点やヒントを商品開発に生かしています。

これは企画だけではなくすべての部署についていえることですが、机上でマーケティング・データをもてあそぶのではなく、現場・現物・現実に接して発想するのです。

そのうえで、観察力・分析力・判断力に優れた人が「売れる商品」をつくっています。

(09年3月30日号 当時・社長 構成=面澤淳市)

楠木 建教授が分析・解説

現場主義を説く経営者は多い。

米GEでCEOを長年務めたジャック・ウェルチも「本社の中にいるということは寒い冬の日にセーターを何枚も着込んでいるようなものだ」と、本社に閉じこもった経営判断の危うさを語っている。何枚も着込んでいたら本当に寒いのかどうかもわからないし、暖かいそよ風が吹いてきたこともわからない。

「現場・現物・現実に接して発想する」という似鳥氏も現場主義者である。現場に出て、現場の空気を感じ、現場の人たちと話をしながら経営判断する。そのほうが自分の決断によって現場がどう動くか、どう変わるかをイメージしやすくなり、決断に自信が持てるようになるのだろう。

一橋大学大学院国際企業戦略研究科(ICS)教授 楠木 建
1964年、東京都生まれ。92年一橋大学大学院商学研究科博士課程修了。2010年より現職。著書に『ストーリーとしての競争戦略』『戦略読書日記』。