多忙な身で時間をどう有効に使うかに関し、私の哲学は「すぐする。すぐ済む」です。「課題が目の前に立ちふさがる」という言葉がありますが、私に言わせれば、課題が見つかったらもうしめたもの。糸口を見つけて取り組めば、解決に繋がるはずだからです。だから、すぐ動けばいいのです。

わが社には「2時間ルール」というものもあります。工場での事故、台風や地震によるお客様の住宅の被災、コンプライアンスに反する事態の発生……マイナス情報は必ず2時間以内に社長に直接入る態勢になっています。何か起きたとき、大切なのは初期動作です。放置せずに、すぐ動く。すぐ動けば、すぐ済む。だからお客様相手の24時間相談受け付け態勢も、わが社が業界で初めてつくりました。お客様相談室長は社長直轄で、全権限を持って問題に対応しています。

(09年11月2日号 当時・社長 構成=小山唯史)

楠木 建教授が分析・解説

放っておくと人はいつまでも決断を先延ばしにする。それをさせないためには、「何か問題が起きたら2時間以内に対処する」などと強制的に決断するようにルール化しておく。矢野氏の「すぐする。すぐ済む」という初期動作のルールは時間を無駄にしないで決断するための一つの方法論である。

一橋大学大学院国際企業戦略研究科(ICS)教授 楠木 建
1964年、東京都生まれ。92年一橋大学大学院商学研究科博士課程修了。2010年より現職。著書に『ストーリーとしての競争戦略』『戦略読書日記』。