2014年4月21日(月)

連戦連勝! USJ、450億ハリー・ポッター実現への革新的発想法

なぜUSJはつぶれなかったのか?【2】

PRESIDENT Online スペシャル

著者
大高 志帆 おおたか・しほ
ライター

大高 志帆ライター歴7年。同志社大学経済学部卒業の独身アラサー女子。ビジネス誌と女性誌の二足のわらじを不器用に履き分ける。好きなモノはピンクとリボンとサンリオキャラ。最近ハマっているのはスマホゲーム「Candy Crush」。悩みはfacebookにあまり「いいね!」がつかないこと。

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大高志帆=文
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数字オタクだから斬新な発想ができた

安倍首相とケネディ駐日大使というサプライズゲストを招き、7月にオープンする新エリア、ハリー・ポッター「The Wizarding World of Harry Potter」を大々的に発表した、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(以下USJ)。

450億円を投じた同社史上最大のプロジェクトが立ち上がったのは、2010年のこと。発案者の森岡毅CMOは当時、14年夏公開予定のこの巨大なプランを成功させるため、11年~13年の3年間を超低予算という極めて厳しい条件の中で、前年比プラスの来場者数を絶対実現させなければならなかった。

「9回2死ランナーなしの状態から、ヒットを打ち続けることが僕の使命でした。四球でも死球でもいいから出塁することが大事だった」(森岡)。

大きなプレッシャーを感じつつも、森岡は次々に斬新なアイデアを繰り出し、来場者数を伸ばした。

●震災直後の自粛ムードを吹き飛ばすための「子どもの入場料無料」
●既存のレーンを「後ろ向き」に走らせる「バックドロップジェットコースター」
●パークをゾンビで埋め尽くす「ハロウィンイベント」

今も普通の前向きより、後ろ向きの「バックドロップ」コースターのほうが人気で、待ち時間は……。

とりわけ発想の大転換で企画された「バックドロップ」は、最長9時間待ちの大行列となったこともあるほどのUSJ名物だ。

数々のずば抜けたアイデアにより来場者数は伸び続け、入社4年近くがたった今、年間来場者数はピーク時に迫るところにまできている。

こう書くと、いかにも森岡は“天才型のヒットメーカー"だと思われるかもしれない。しかし、本人によれば、数字が得意なバリバリの左脳人間。「クリエイティブなひらめきでアイデアを生み出すなんて、とんでもない」と否定する。

「誰もが求める、アイデアの“神様”の正体。それは"確率"です。いいアイデアを生み出す確率を高めるため、私は常に"イノベーション・フレームワーク"を実践しているだけなのです」(同)

森岡の“確率(数字)信仰”は筋金入りだ。何せ、社会人1年目、妻へのポロポーズの言葉が「NPV(割引現在価値=将来に受け取れる価値が、もし現在受け取れるとしたらどの程度の価値を持つかを表す経済用語)が最大化するから、今、結婚しよう」だった。

妻は今でもその言葉を「最悪だった」と評するが、「計算上、僕の結論は正しかった」と森岡は譲らない。

さて、森岡が言う“イノベーション・フレームワーク”とは、(1)フレームワーク(2)リアプライ(3)ストック(4)コミットメントの4つの手法を組み合わせ、実現可能なアイデアを発想する方法。なかでも(1)のフレームワークは、偶然性に頼らないため、誰でも真似しやすいのが特徴だ。

「広大な畑のどこに宝が埋まっているのか、アイデアの手がかり(必要条件)を明らかにするのがフレームワークの役目です。それにより、最小の努力で最大の効果を上げる=強いアイデアを生み出すことができるのです」(同)

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