足して100になる「仮説数学的フレームワーク」

森岡 毅(もりおか・つよし)
1972年生まれ。神戸大学経営学部卒。96年、P&G入社。日本ヴィダルサスーン、北米パンテーンのブランドマネージャー、ウエラジャパン副代表などを経て、2010年ユー・エス・ジェイ入社。12年より同社、チーフ・マーケティング・オフィサー、執行役員、本部長。著書に『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?』(角川書店)。

森岡がよく使うという2つのフレームワークを紹介しよう。

1つ目は、問題の原因の発見や可能性の発見に役立つ“数学的フレームワーク”だ。畑のどこに宝が埋まっているのか、重複も抜け落ちもないよう、必ず足して100になる仮説を立てて論理的に検証していくのがポイントだ。

具体的なケースを見てみよう。

森岡の入社当時、USJは集客で伸び悩み、じり貧状態だった。では、その原因は何なのか。すぐに「子連れファミリーの集客減か、女性客の集客減か」と考えるのは、闇雲で危険な宝探しである。

なぜなら、“女性”と“母親”という重なりがあり、“独身男性”という抜けがあるからだ、と森岡は語る。数学的フレームワークとして正しい仮説は、「女性の集客減か、男性の集客減か」または「子供連れファミリーの集客減か、それ以外の集客減か」。これなら足して100になる。

試しに「男性の集客減が原因である」と仮定して調査を進め、そこに原因がなければ、“女性”のどこかの層に問題があることがわかる。その上でさらに「20歳未満の女性か、20歳以上の女性か」などと仮説を立てて調べていけば、いつかは必ず問題の原因にたどりつくという仕組みである。