2014年4月23日(水)

USJ、“仏と毒”の人心掌握術

なぜUSJはつぶれなかったのか?【4】

PRESIDENT Online スペシャル

著者
大高 志帆 おおたか・しほ
ライター

大高 志帆ライター歴7年。同志社大学経済学部卒業の独身アラサー女子。ビジネス誌と女性誌の二足のわらじを不器用に履き分ける。好きなモノはピンクとリボンとサンリオキャラ。最近ハマっているのはスマホゲーム「Candy Crush」。悩みはfacebookにあまり「いいね!」がつかないこと。

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大高志帆=文
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悪意がないぶん厄介な"間違ったこだわり"を正す

2010年にCMOの森岡毅が入社してからというもの、USJには斬新なアイデアが次々に投入され、大変革ともいうべきテコ入れが行われた。集客アップという至上命題のもと、膨大なデータを分析し、実際にパークを歩いて回った森岡が最初に行き当たった問題は「方向性の間違ったこだわり」だった。

「入社する前のことですが、ショーで使う海賊船に、職人が時間とお金をかけて超ハイレベルなエイジング(古びたように見せる)塗装を行いました。その結果、肝心のゲストからは、かえって『海賊船がボロボロで汚い』と不評だったことがあります。大きなところでいえば、『USJは映画だけのテーマパークであるべき』『大人向けのテーマパークであるべき』という考え方も、方向性の間違ったこだわりの例でしょう。これらの行為が厄介なのは、悪意がなく、正しい行為と信じられているところ。私たちマーケターの役目は、彼らの努力が徒労に終わらぬよう、消費者価値の向上に正しくシフトさせることなのです」(森岡)

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USJの年間入場者数

“ゲストの満足”という目的からズレてしまえば、どんなこだわりもムダでしかない。森岡は、USJに多くあったその手のこだわりを正すために立ち上がった。

その積み重ねによって来場者数700万人台→1050万人という急激な業績回復があるわけだが、突然、ヨソモノがやってきて強烈なリーダーシップを発揮された形の部下たちの動揺は想像に難くない。

「会議で『映画の専門店』という妄想から脱却して、『世界最高のエンターテイメントを集めたセレクトショップ』にシフトしようと発言した後の重い空気は今でも忘れられません。私という宇宙人に襲撃されて言葉を失った人類、といった構図でした」(同)

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