東日本大震災以降、自然災害のリスクを考慮した資産管理を意識するようになった人も多いのではないだろうか。非常用袋の中身から被災後の各種手続きのコツまで「有事のお金の守り方」を伝授する。

東日本大震災では、被災者の多くが大事な資産を失うことになった。この大震災の影響で、日本列島を取り巻く活断層の活動が活発化し、近い将来、連鎖的な大地震が起こるのではないかとも予測されている。今後は、被災リスクを考えたうえで資産を守る手だてを考えておく必要がありそうだ。

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非常時持ち出し用「保険とお金の管理リスト」を作ろう

災害は、自分がどこに居るときに起こるかわからない。そこでどんなときでも絶対に手元から離さないでもらいたいのが「財布」だ。近所のコンビニには小銭入れしか持たずに行く人もいるだろうが、財布も必ず携帯する習慣を身につけるべきだ。

財布の中には、最低限、次の3つのモノを入れておくこと。

□運転免許証
□健康保険証
□現金2万~3万円

この現金は非常用なので普段は手をつけず、折りたたんで財布のポケットなどに入れておく。

「停電で銀行のATMが機能しなかったり、銀行の支店そのものが機能停止になったりする恐れもあるので、当座をしのぐための現金は絶対に必要です」と言うのは『災害時 絶対に知っておくべき「お金」と「保険」の知識』を執筆した(共著)、「生活設計塾クルー」ファイナンシャルプランナーの深田晶恵氏。

「通帳もキャッシュカードも印鑑もすべて失ってしまった、という人も大丈夫。災害による緊急時には、これらのものがなくても銀行から現金を引き出せる特例が適用されます」

ただし、その際には運転免許証や保険証など本人確認ができる身分証明書の提示が必要だ。被災時におけるほかの各種手続きも同様なので、とにかく身分証明書だけは肌身離さず持っておくことをお勧めする。

東日本大震災後に慌てて非常用袋を用意した人も多いだろう。通帳や不動産の権利証などまで詰め込みたくなった人もいるかもしれないが、重くかさばるうえに盗難のリスクもある。それよりも、被災時持ち出し用に「保険とお金の管理リスト」を入れておくことだ。管理リストは、表を参考に、エクセルなどを利用して作成してみよう。もちろん手書きでも構わない。