年金3割減に消費税30%。家計を襲う最悪のシナリオは、そこまで迫っている。それだけでない。ニートの子供、長生きな親……老後の生活設計を狂わせる「7つの大敵」の攻略法を検証する。

デフレでも教育費、介護費は上がり続ける

日本の社会保障費が増大するのがわかり切っている以上、国は歳入を増やし、財政を健全化する必要があるが、対策は遅々として進んでいない。

「最近の研究によると、年金などの社会保障費を抑制できない場合、財政安定化に必要な消費税の最終税率は30%超で、25%に引き上げても国家財政は赤字が続くとの試算もあります」(一橋大学経済研究所准教授・小黒一正氏)

12年夏に成立した消費税増税法案。14年4月から8%、15年10月から10%へと2段階で引き上げられる運びとなった。しかし……。

図を拡大
4人家族なら消費税10%で年間+18万円、20%で+56万円!(※矢嶋康次氏監修)

「国は、10%にしても歳入と歳出はバランスしないと公式に表明しています。今後早ければ15年以降の10年間で15%、20%と引き上げられることも十分ありえます。もっとも政治の動向次第で、今の法案さえ振り出しに戻される可能性もあると思いますが」(ニッセイ基礎研究所・チーフエコノミスト・矢嶋康次氏)

消費税増税による家計への影響を示したのが、図のシミュレーションだ。4人家族の平均的な年間支出は400万円程度だが、もし30%まで引き上げられれば、およそ100万円も負担が増えることになる。

「シミュレーションをして、ひとりの消費者として『こんなに取られるのか』と怒りがこみ上げてきました」(矢嶋氏)

消費税だけではない。住民税や所得税もいつの間にか増えている。11年に年少扶養控除(16歳未満の扶養親族に対する控除)が廃止されたが、これは住民税の増税に等しい。また、13年からは「復興特別所得税」が導入された。税額は基準所得額の2.1%で、実に25年にわたって課税されるのだ。税金ではないが、社会保険料も17年まで毎年0.354%ずつ上げられる。